エンハーツがHER2低発現乳がんに対する国内初の抗HER2療法として適応拡大承認を取得ー第一三共ー


  • [公開日]2023.04.05
  • [最終更新日]2023.04.03

3月27日、第一三共株式会社は、「化学療法歴のあるHER2発現の手術不能または再発乳がん」の治療薬として、抗HER2抗体薬物複合体ADC)であるエンハーツ(一般名:トラスツズマブ デルクステカン、以下エンハーツ)の適応拡大承認を取得したと発表した。

乳がんは世界的にも罹患者数、死亡者数ともに多いがん腫であり、日本においては女性で最も罹患者数の多いがん腫である。また、がん細胞の表面に発現するHER2というタンパク質は、乳がんをはじめ、胃がんや肺がん、大腸がんなどで見られる。乳がん患者の約50%がHER2が低いレベルで発現しているHER2低発現(IHC1+またはIHC2+/ISH-)という状態である。これまで日本においてHER2低発現乳がんを対象とする抗HER2療法は存在しなかった。

今回の承認は、グローバル第3相試験DESTINY-Breast04試験の結果に基づくもの。DESTINY-Breast04試験は、化学療法の前治療歴があるHER2低発現の転移性乳がん患者を対象に、エンハーツ5.4mg/kg単剤療法を実施する群と主治医選択の化学療法を選択する群に振り分け、有効性安全性を比較検証した臨床試験である。

同試験の結果、エンハーツ単剤療法は化学療法に対して、無増悪生存期間全生存期間において統計学的有意に延長を認めた。その結果を受け、厚生労働省はエンハーツを優先審査品目に指定。今回の承認により、日本で初めてのHER2低発現乳がんに対する抗HER2療法となった。

第一三共はリリースにて、「HER2低発現の乳がんにおける新たな治療の選択肢を提供することで、国内のより多くの乳がん患者さんに貢献してまいります」と述べている。

抗体薬物複合体(ADC)とは
抗体薬物複合体とは、抗体と低分子化合物である薬物を結合させた薬剤。がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体を介して、薬物をがん細胞に直接届け作用することで薬剤の全身曝露を抑えながらがん細胞への攻撃を高める。

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参照元:
第一三共株式会社 プレスリリース

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