進行性/再発子宮内膜がんに対する抗PD-1モノクローナル抗体薬ドスタルリマブ+標準化学療法、無増悪生存期間を改善ーGSKー


  • [公開日]2023.04.04
  • [最終更新日]2023.04.03
この記事の3つのポイント
・進行性/再発子宮内膜がん患者が対象の第3相試験
・ドスタルリマブ+標準化学療法有効性安全性を標準化学療法と比較検証
無増悪生存期間は全患者群ならびにマイクロサテライト不安定性(MSI-H)もしくはミスマッチ修復機能欠損(dMMR)のある患者群において
 ドスタルリマブ+標準化学療法が統計学的有意に改善を認めた

3月27日、GSK社のプレスリリースにて進行性/再発子宮内膜がん患者に対する抗PD-1モノクローナル抗体薬であるドスタルリマブ(dostarlimab)+標準化学療法(カルボプラチンパクリタキセル併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のRUBY/ENGOT-EN6/GOG3031/NSGO試験の中間解析の結果が公表された。

RUBY/ENGOT-EN6/GOG3031/NSGO試験はPART1、PART2に分かれており、PART1では進行性/再発子宮内膜がん患者に対してドスタルリマブ+標準化学療法を実施し、その後ドスタルリマブ単剤療法を実施する群、もしくはプラセボ+標準化学療法を実施し、その後プラセボ単剤療法を実施する群に無作為に振り分け、主要評価項目として主治医評価の無増悪生存期間(PFS)、全生存期間OS)を全患者(ITT)、マイクロサテライト不安定性(MSI-H)もしくはミスマッチ修復機能欠損(dMMR)のある患者にそれぞれ分けて統計解析、副次評価項目としては独立評価委員会判定による無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率ORR)、奏効持続期間(DOR)、病勢コントロール率DCR)など検証している。

PART2では進行性/再発子宮内膜がん患者に対してドスタルリマブ+標準化学療法を実施し、その後ドスタルリマブ+ニラパリブ併用療法を実施する群、もしくはプラセボ+標準化学療法を実施し、その後プラセボ単剤療法を実施する群に無作為に振り分け、主要評価項目として主治医評価の無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目としては独立評価委員会判定による無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)、奏効持続期間(DOR)、病勢コントロール率(DCR)など検証した国際多施設共同ランダム化二重盲検下の第3相試験である。

本試験のPART1における結果、主要評価項目であるマイクロサテライト不安定性(MSI-H)のある患者群(N=53人)もしくはミスマッチ修復機能欠損(dMMR)のある患者群(N=65人)における主治医評価の無増悪生存期間(PFS)は、プラセボ+標準化学療法群に比べてドスタルリマブ+標準化学療法群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを72%(HR:0.28、95%信頼区間:0.162-0.495、P<0.0001)統計学的有意に改善した。また、24ヶ月無増悪生存率(PFS)は、ドスタルリマブ+標準化学療法群の61.4%(95%信頼区間:46.3–73.4%)に対してプラセボ+標準化学療法群で18.1%(95%信頼区間;13.0–23.9%)を示した。

全患者群(ITT)における主治医評価の無増悪生存期間(PFS)は、プラセボ+標準化学療法群(N=249人)に比べてドスタルリマブ+標準化学療法群(N=245人)で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを36%(HR:0.64、95%信頼区間:0.507–0.800、P<0.0001)統計学的有意に改善した。また、24ヶ月無増悪生存率(PFS)は、ドスタルリマブ+標準化学療法群の36.1%(95%信頼区間:29.3–42.9%)に対してプラセボ+標準化学療法群で18.1%(95%信頼区間:13.0–23.9%)を示した。

もう1つの主要評価項目である全生存期間(OS)は、マイクロサテライト不安定性(MSI-H)もしくはミスマッチ修復機能欠損(dMMR)のある患者群における主治医評価の全生存期間(OS)は、プラセボ+標準化学療法群に比べてドスタルリマブ+標準化学療法群で死亡(OS)のリスクを70%(HR:0.30、95%信頼区間:0.127–0.699)減少した。また、24ヶ月全生存率(OS)は、ドスタルリマブ+標準化学療法群の83.3%(95%信頼区間:66.8–92.0%)に対してプラセボ+標準化学療法群で58.7%(95%信頼区間:43.4–71.2%)を示した。

全患者群(ITT)における主治医評価の全生存期間(OS)は、プラセボ+標準化学療法群に比べてドスタルリマブ+標準化学療法群で死亡(OS)のリスクを36%(HR:0.64、95%信頼区間:0.464–0.870)改善した。また、24ヶ月全生存率(OS)はドスタルリマブ+標準化学療法群の71.3%(95%信頼区間:64.5–77.1%)に対してプラセボ+標準化学療法群で56.0%(95%信頼区間:48.9–62.5%)を示した。

一方の安全性として、本試験で確認されたドスタルリマブの有害事象(AE)は、既存の臨床試験で確認されている安全性プロファイルと一致していた。全患者(ITT)のうち45%以上の患者で確認された治療関連有害事象(TRAE)は嘔気、脱毛症、倦怠感であった。また、免疫関連有害事象(irAE)発症率は、ドスタルリマブ+標準化学療法群の38.2%に対してプラセボ+標準化学療法群で15.4%であり、最も多くの患者で確認された免疫関連有害事象(irAE)は内分泌障害(ドスタルリマブ+標準化学療法群の15.8%に対してプラセボ+標準化学療法群で3.3%)、皮膚有害反応(ドスタルリマブ+標準化学療法群の14.1%に対してプラセボ+標準化学療法群で3.7%)であった。

以上の第3相のRUBY/ENGOT-EN6/GOG3031/NSGO試験の結果に対して、GSKのSenior Vice President・Global Head of Oncology DevelopmentであるHesham Abdullah氏は「同試験で得られた良好な成績は、子宮内膜がん患者さんの重大なアンメットニーズへの対応に一歩近づくものであり、ドスタルリマブのエビデンスが増え、免疫チェックポイント阻害薬による治療ががん治療を変革する可能性があるという当社の確信を強めました」と述べている。

Phase III RUBY clinical trial demonstrates potential of Jemperli (dostarlimab) plus chemotherapy to redefine the treatment of primary advanced or recurrent endometrial cancer versus chemotherapy alone(GSK plc. PressReleases)

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