NRAS遺伝子変異陽性進行性/転移性悪性黒色腫に対するBRAF/CRAF阻害薬ナポラフェニブ+MEK阻害薬トラメチニブ併用療法、有望な抗腫瘍活性を認めるJournal of Clinical Oncologyより


  • [公開日]2023.03.30
  • [最終更新日]2023.03.30
この記事の3つのポイント
・NRAS遺伝子変異陽性進行性/転移性悪性黒色腫患者が対象の第1b相試験
・ナポラフェニブ+トラメチニブ併用療法の有効性安全性を検証
・客観的奏効率はナポラフェニブ200mg投与群で46.7%、ナポラフェニブ400mg投与群で13.3%を示した

3月22日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にてKRAS遺伝子変異陽性もしくはBRAF遺伝子変異陽性進行性/転移性非小細胞肺がん、NRAS遺伝子変異陽性進行性/転移性悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対するBRAF/CRAF阻害薬であるnaporafenib(ナポラフェニブ:LXH254)+MEK阻害薬であるトラメチニブ併用療法の有効性、安全性を検証した第1b相試験(NCT02974725)の結果がUniversity of MilanのFilippo de Braud氏らにより公表された。

本試験は、KRAS遺伝子変異陽性もしくはBRAF遺伝子変異陽性進行性/転移性非小細胞肺がん、NRAS遺伝子変異陽性進行性/転移性悪性黒色腫(メラノーマ)患者(N=66人)に対してナポラフェニブ(LXH254)+トラメチニブ併用療法を投与し、主要評価項目として用量制限毒性DLT)、有害事象(AE)発症率、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)などを検証したシングルアームオープンラベルの第1b相試験である。KRAS遺伝子変異陽性もしくはBRAF遺伝子変異陽性進行性/転移性非小細胞肺がん患者はすべて用量漸増パートに組み込まれ、NRAS遺伝子変異陽性進行性/転移性悪性黒色腫(メラノーマ)患者は用量漸増パートと用量拡大パートに組み入れられた。

本試験が開始された背景として、悪性黒色腫(メラノーマ)はBRAF遺伝子変異、NRAS遺伝子変異、KIT遺伝子変異などの遺伝子変異が発現することが確認されている。NRAS遺伝子変異を有する悪性黒色腫(メラノーマ)に対しては、標準治療として免疫チェックポイント阻害薬が使用されているが、進行性の悪性黒色腫における効果は不十分である。さらに、NRAS遺伝子変異陽性進行性/転移性悪性黒色腫に対する分子標的薬で承認されたものは存在しない。

以上の背景より、NRAS遺伝子変異陽性進行性/転移性悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対するBRAF/CRAF阻害薬であるナポラフェニブ(LXH254)+MEK阻害薬であるトラメチニブ併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験の用量漸増(Dose-escalation、N=36人)群において確認されたグレード3以上の有害事象(AE)は、皮膚炎2人、斑状皮疹2人、リパーゼ増加1人、Stevens-Johnson症候群1人であった。以上の結果より、第2相試験推奨用量は1日2回ナポラフェニブ(LXH254)200mg+1日1回トラメチニブ1mg、もしくは1日2回naporafenib(LXH254)400mg+1日1回トラメチニブ0.5mgとして決定された。

用量拡大(Dose-expansion、N=30人)群段階において最も多くの患者で確認された有害事象(AE)は、発疹80%(N=24/30人)、血中クレアチンホスホキナーゼ増加30%(N=9/30人)、下痢30%(N=9/30人)、吐気30%(N=9/30人)であった。1日2回ナポラフェニブ(LXH254)200mg+1日1回トラメチニブ1mg併用群における客観的奏効率(ORR)は46.7%(95%信頼区間:21.3-73.4%、N=7/15人)、奏効持続期間(DOR中央値は3.75ヶ月(95%信頼区間:1.97ヶ月-未到達)、無増悪生存期間PFS)中央値は5.52ヶ月をそれぞれ示した。

1日2回ナポラフェニブ(LXH254)400mg+1日1回トラメチニブ0.5mg併用群における客観的奏効率(ORR)は13.3%(95%信頼区間:1.7-40.5%、N=2/15人)、奏効持続期間(DOR)中央値は3.75ヶ月(95%信頼区間:2.04ヶ月-未到達)、無増悪生存期間(PFS)中央値は4.21ヶ月をそれぞれ示した。

以上の第1b相試験の結果より、Filippo de Braud氏らは「NRAS遺伝子変異陽性進行性/転移性悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対するBRAF/CRAF阻害薬であるナポラフェニブ(LXH254)+MEK阻害薬であるトラメチニブ併用療法は、有望な抗腫瘍活性を示しました。今後は皮膚関連事象の発生率低下に対する対策が求められます」と結論を述べている。

Initial Evidence for the Efficacy of Naporafenib in Combination With Trametinib in NRAS-Mutant Melanoma: Results From the Expansion Arm of a Phase Ib, Open-Label Study(J Clin Oncol. 2023 Mar 22;JCO2202018. doi: 10.1200/JCO.22.02018.)

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