3月15日、大原薬品工業株式会社は、抗悪性腫瘍酵素製剤であるアーウィナーゼ筋注用10000(一般名:クリサンタスパーゼ、以下アーウィナーゼ)について、「急性白血病(慢性白血病の急性転化例を含む)、悪性リンパ腫(ただしL-アスパラキナーゼ製剤に過敏症を示した場合に限る)」を効能・効果として薬価収載されたと発表した。
アーウィナーゼはErwinia chrysanthemi菌から分離されたアスパラキナーゼ。血液がんのいくつかは、アミノ酸の1つであるアスパラギンを合成する酵素をほとんど持っていないため、外部から補給されたアスパラギンがアスパラキナーゼで分解されるとアスパラギンが枯渇する。アスパラギンは、がん細胞の増殖に必要なアミノ酸であるため、枯渇することはがん細胞が死滅するということである。
これまでは大腸菌由来のアスパラキナーゼが日本で承認され、血液がんの治療に用いらえていたが、アレルギー症状を起こしやすいことが報告されている。アーウィナーゼは大腸菌とは異なる細菌より生成されるため、大腸菌由来のアスパラキナーゼに対するアレルギー症状を発症し治療不可能となる患者の治療選択肢となる。 (参考:大原薬品工業株式会社 2015年12月17日プレスリリース)
アーウィナーゼは、2016年12月に製造販売承認を取得していたが、製造量不足が原因で供給量が世界的に制限を受けていたため薬価収載の手続きならびに発売を見合わせていた。現在は安定して供給がきるようになったため、薬価収載に至った。
なお、現在は発売に向けて準備を進めている段階であり、正式な発売日はまだ決定していない。
参照元:大原薬品工業株式会社 プレスリリース