転移性去勢抵抗性前立腺がんに対するニラパリブ+アビラテロン+プレドニゾロン、画像診断に基づく無増悪生存期間を延長Journal of Clinical Oncologyより


  • [公開日]2023.03.29
  • [最終更新日]2023.03.29
この記事の3つのポイント
転移性去勢抵抗性前立腺がん患者が対象の第3相試験
・ニラパリブ+アビラテロン+プレドニゾロン併用療法有効性安全性プラセボ+アビラテロン+プレドニゾロンと比較検証
HRR遺伝子変異陽性群における無増悪生存期間はニラパリブ+アビラテロン+プレドニゾロン併用群16.5ヶ月であり、プラセボ+アビラテロン+プレドニゾロン併用群(13.7ヶ月)に対して延長を認めた

3月23日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて相同組み換え修復(HRR)遺伝子変異ステータス別の転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者に対するPARP阻害薬であるニラパリブ+アンドロゲン受容体拮抗薬であるアビラテロン+プレドニゾロン併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のMAGNITUDE試験(主要評価項目としてBRCA1/2遺伝子変異陽性群、相同組み換え修復(HRR)遺伝子変異陽性群における画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)を比較検証したランダム化二重盲検下の第3相試験である。なお、本試験に登録された患者は相同組み換え修復(HRR)遺伝子変異陽性群423人、相同組み換え修復(HRR)遺伝子陰性群247人である。

本試験が開始された背景として、相同組み換え修復(HRR)遺伝子変異は転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)の予後不良、治療抵抗性に関係すると考えられている。別の第3相のPROpel試験では、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者に対するファーストライン治療としてPARP阻害薬であるオラパリブリムパーザ併用療法は、プラセボ+リムパーザ併用療法に比べて画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)を統計学的有意に改善し、その臨床ベネフィットは相同組み換え修復(HRR)遺伝子変異の有無に関係なく確認されている。(参考:2022 ASCO Genitourinary Cancers Symposium Abstract#11

本試験の結果、主要評価項目であるBRCA1/2遺伝子変異陽性群における画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)中央値はニラパリブ+アビラテロン+プレドニゾロン併用群16.6ヶ月に対してプラセボ+アビラテロン+プレドニゾロン併用群10.9ヶ月、プラセボ+アビラテロン+プレドニゾロン併用群に比べてニラパリブ+アビラテロン+プレドニゾロン併用群で画像診断に基づく病勢進行または死亡(rPFS)のリスクを47%統計学的有意に改善した(HR:0.53、95%信頼区間:0.36-0.79、P=0.001)。

また、相同組み換え修復(HRR)遺伝子変異陽性群における画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)中央値はニラパリブ+アビラテロン+プレドニゾロン併用群16.5ヶ月に対してプラセボ+アビラテロン+プレドニゾロン併用群13.7ヶ月、プラセボ+アビラテロン+プレドニゾロン併用群に比べてニラパリブ+アビラテロン+プレドニゾロン併用群で画像診断に基づく病勢進行または死亡(rPFS)のリスクを27%統計学的有意に改善した(HR:0.73、95%信頼区間:0.56-0.96、P=0.022)。

一方の安全性として、ニラパリブ+アビラテロン+プレドニゾロン併用群においてグレード3以上の有害事象として報告が多かったのは、貧血(29.7%)と高血圧(14.6%)であった。

以上の第3相MAGNITUDE試験の結果より、Kim N. Chi氏らは「転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者に対するPARP阻害薬であるニラパリブ+アンドロゲン受容体拮抗薬であるアビラテロン+プレドニゾロン併用療法は、相同組み換え修復(HRR)遺伝子変異を有する患者群で画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)を有意に延長しました」と結論を述べている。

Niraparib and Abiraterone Acetate for Metastatic Castration-Resistant Prostate Cancer(J Clin Oncol. 2023 Mar 23;JCO2201649. doi: 10.1200/JCO.22.01649.)

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