EGFR遺伝子変異陽性の早期非小細胞肺がんに対する術後補助療法としてのタグリッソ単剤療法、アップデート解析で全生存期間の改善示す-英アストラゼネカ社-


  • [公開日]2023.03.24
  • [最終更新日]2023.03.20
この記事の3つのポイント
EGFR遺伝子変異陽性の早期非小細胞肺がん患者が対象の第3相試験
・術後補助療法としてのタグリッソ単剤療法の有効性安全性プラセボと比較検証
・アップデート解析の結果、全生存期間を統計学的有意に延長した

3月9日、英アストラゼネカ社のプレスリリースにて完全腫瘍切除したIB期、II期、IIIA期の上皮成長因子受容体遺伝子(EGFR)変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する術後補助療法としての第3世代の上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)であるタグリッソ(一般名:オシメルチニブ、以下タグリッソ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のADAURA試験のアップデート解析の結果が公表された。

ADAURA試験とは、完全腫瘍切除したIB期、II期、IIIA期の上皮成長因子受容体遺伝子(EGFR)変異陽性非小細胞肺がん患者(N=682人)に対して1日1回タグリッソ80mgを最大3年間または再発するまで投与する群、またはプラセボを投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として無病生存期間DFS)、重要な副次評価項目として全生存期間(OS)などを比較検証した無作為化二重盲検プラセボ対照国際共同第3相試験である。

本試験が開始された背景として、毎年約220万人程度の患者が肺がんとして診断され、その約80~85%は非小細胞肺がんである。非小細胞肺がんの約25~30%の患者は早期段階で診断され、手術により治癒が可能である。しかしながら、ステージIB期非小細胞肺癌の5年生存率(OS)は73%程度であり、さらにステージII期で56~65%、ステージIIIA期で41%に減少する。

このように、早期非小細胞肺癌の治療方法には未だ改善する余地があり、アンメットメディカルニーズが存在する。以上の背景より、完全腫瘍切除したIB期、II期、IIIA期の上皮成長因子受容体遺伝子(EGFR)変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する術後療法としての第3世代の上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)タグリッソの有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験の結果、重要な副次評価項目である全生存期間(OS)はプラセボ単剤群に比べてタグリッソ単剤群で統計学的有意な改善を示し、臨床的意義のある抗腫瘍効果を示すことが明らかになった。なお、前々回、前回のフォローアップ解析で示している通り、主要評価項目である無病生存期間(DFS)も同様に統計学的有意な改善を示している。

一方の安全性として、既存の臨床試験で確認されているタグリッソの安全性プロファイルと一致しており、本試験で新たに確認された有害事象(AE)はなかった。

以上の第3相ADAURA試験の結果より、治験責任医師であるYale Cancer Center and Smilow Cancer HospitalのRoy S. Herbst氏は「完全腫瘍切除したIB期、II期、IIIA期の上皮成長因子受容体遺伝子(EGFR)変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する術後補助療法としての第3世代の上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)であるタグリッソの全生存期間ならびに無病生存期間の結果は、早期の非小細胞肺がんにおいて患者さんの命を伸ばす可能性を裏付けるものとなりました。」と述べるとともに、この結果は、高い再発率に直面し、以前は手術後に治療標的となる選択肢がなかった早期の上皮成長因子受容体遺伝子(EGFR)変異陽性非小細胞肺がん患者さんにとってタグリッソが最善の治療提供できることを示しています」と語っている。

Tagrisso demonstrated strong overall survival benefit in the ADAURA Phase III trial for adjuvant treatment of patients with early-stage EGFR-mutated lung cancer(AstraZeneca PressReleases)

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