治療歴のあるマイクロサテライト安定性(MSS)進行性大腸がんに対するオプジーボ+ヤーボイ+スチバーガ併用療法、客観的奏効率27.3%を示すJAMA Oncologyより


  • [公開日]2023.03.20
  • [最終更新日]2023.03.20
この記事の3つのポイント
・治療歴のあるマイクロサテライト安定性(MSS)進行性大腸がん患者が対象の第1相試験
オプジーボヤーボイスチバーガ併用療法の有効性安全性を検証
・第2相試験推奨用量下における客観的奏効率は27.3%、全生存期間は20ヶ月を示した

3月9日、医学誌『JAMA Oncology』にて、治療歴のあるマイクロサテライト安定性(MSS)進行性大腸がん患者に対する抗PD-L1抗体薬であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ、以下オプジーボ)+抗CTLA-4抗体薬であるヤーボイ(一般名:イピリムマブ、以下ヤーボイ)+マルチキナーゼ阻害薬であるスチバーガ(一般名:レゴラフェニブ、以下スチバーガ)併用療法の有効性、安全性を検証した第1相試験(NCT04362839)の結果がCity of Hope Comprehensive Cancer CenterのMarwan Fakih氏らにより公表された。

本試験は、治療歴のあるマイクロサテライト安定性(MSS)進行性大腸がん患者(N=39人)に対して2週1サイクルでオプジーボ240mg+6週1サイクルでヤーボイ1mg/kg+4週1サイクルで1~21日目にスチバーガ併用療法を最大2年間実施し、主要評価項目として第2相試験推奨用量、副次評価項目として安全性、客観的奏効率(ORR)などを検証したオープンラベルシングルアームの第1相試験である。

これまでマイクロサテライト不安定性(MSI)の転移性大腸がん患者に対する抗PD-1抗体薬、抗CTLA-4抗体薬などの免疫チェックポイント阻害薬は有効性が確認されているが、マイクロサテライト不安定性のない(MSS)進行性大腸がん患者に対してはその有効性が確認されていなかった。この原因は、マイクロサテライト不安定性(MSI)腫瘍の遺伝子変異量(TMB)が高率であることが1つの要因として考えられている。

別の第2相のNICHE試験(NCT03026140)では、マイクロサテライト不安定性のない(MSS)またはマイクロサテライト不安定性(MSI)の早期大腸がん患者に対する術前化学療法としての抗PD-1抗体薬オプジーボ+抗CTLA-4抗体薬ヤーボイ併用療法が良好な病理学的奏効率(pathological response)を示すことが確認されている。(参考:Nat Med. 2020 Apr;26(4):566-576. doi:10.1038/s41591-020-0805-8. Epub 2020 Apr 6.

以上の背景より、治療歴のある進行性大腸がんの標準治療薬の1つであるマルチキナーゼ阻害薬スチバーガを加え、治療歴のあるマイクロサテライト安定性(MSS)進行性大腸がん患者に対する抗PD-L1抗体薬オプジーボ+抗CTLA-4抗体薬ヤーボイ+マルチキナーゼ阻害薬スチバーガ併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験の結果、用量制限毒性DLT)は1人の患者でも発現が確認されず、主要評価項目である第2相試験推奨用量は2週1サイクルでオプジーボ240mg+6週1サイクルでヤーボイ1mg/kg+4週1サイクルで1~21日目に1日1回スチバーガ80mgの併用と決定された。副次評価項目である客観的奏効率(ORR)は27.6%、無増悪生存期間PFS中央値は4ヶ月、全生存期間(OS)中央値は20ヶ月をそれぞれ示した。

第2相試験推奨用量での投与における安全性として、皮膚症状および免疫関連有害事象の発生は低かったが、50%の患者における最良の反応は病勢安定(SD)であった。

以上の第1相試験の結果より、Marwan Fakih氏らは「治療歴のあるマイクロサテライト安定性(MSS)進行性大腸がん患者に対する抗PD-L1抗体薬であるオプジーボ+抗CTLA-4抗体薬であるヤーボイ+マルチキナーゼ阻害薬であるスチバーガ併用療法は、第2相試験推奨用量下において興味深い抗腫瘍活性が見られました。今後の臨床試験で確認していきたいです」と述べている。

Regorafenib, Ipilimumab, and Nivolumab for Patients With Microsatellite Stable Colorectal Cancer and Disease Progression With Prior Chemotherapy: A Phase 1 Nonrandomized Clinical Trial(JAMA Oncol. 2023 Mar 9;e227845. doi: 10.1001/jamaoncol.2022.7845.)

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