未治療のハイリスク骨髄異形成症候群(MDS)に対する抗CD47抗体マグロリマブ+アザシチジン併用療法、完全寛解率33%を示すJournal of Clinical Oncologyより


  • [公開日]2023.03.15
  • [最終更新日]2023.03.15
この記事の3つのポイント
・未治療のハイリスク骨髄異形成症候群MDS)患者が対象の第1b相試験
・マグロリマブ+アザシチジン併用療法有効性安全性を検証
・完全寛解率は全患者群で33%、TP53遺伝子変異を有する患者群で40%を示した

3月8日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて未治療のハイリスク骨髄異形成症候群(MDS)患者に対する抗CD47に対するモノクローナル抗体であるmagrolimab(マグロリマブ)+アザシチジン併用療法の有効性、安全性を検証した第1b相試験(NCT03248479)の結果がMoffitt Cancer CenterのDavid A. Sallman氏らにより公表された。

本試験は、未治療のハイリスク骨髄異形成症候群(MDS)患者に対してマグロリマブ+アザシチジン併用療法を実施し、主要評価項目として完全寛解率(CR)、有害事象(AE)発症率を検証したオープンラベルの第1b相試験である。

この試験の背景として、抗CD47に対するモノクローナル抗体であるマグロリマブはがん細胞で過剰発現しているCD47の認識をブロックし、マクロファージによるがん細胞の貪食を促進する。また、貪食を促すシグナルの発現を増加させるアザシチジンの相乗効果の発揮も期待されている。そこで、未治療のハイリスク骨髄異形成症候群(MDS)患者に対する抗CD47に対するモノクローナル抗体であるマグロリマブ+アザシチジン併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験の結果、主要評価項目である完全寛解率(CR)は33%、全奏効持率(ORR)は75%をそれぞれ示した。全患者群における奏効までの期間中央値は1.9ヶ月、奏効持続期間(DOR)中央値は11.1ヶ月、奏効持続期間(DOR)中央値は9.8ヶ月、無増悪生存期間PFS)中央値は11.6ヶ月、全生存期間OS)中央値は未到達をそれぞれ示した。

また、TP53遺伝子変異群における完全寛解率(CR)は40%であり、全生存期間(OS)中央値は16.3ヶ月を示した。

一方の安全性として、最も多くの患者で確認された治療関連有害事象(TRAE)は、便秘が68%、血小板減少が55%、貧血が52%であった。

以上の第1b相試験の結果より、David A. Sallman氏らは「未治療のハイリスク骨髄異形成症候群(MDS)患者に対する抗CD47に対するモノクローナル抗体であるマグロリマブは、有望な有効性を示し、忍容性も良好でした。現在、マグロリマブ+アザシチジンとプラセボ+アザシチジンを比較検証する第3相試験が進行中です」と述べている。

Magrolimab in Combination With Azacitidine in Patients With Higher-Risk Myelodysplastic Syndromes: Final Results of a Phase Ib Study(J Clin Oncol. 2023 Mar 8;JCO2201794. doi: 10.1200/JCO.22.01794.)

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