2月28日、小野薬品工業株式会社は「悪性中皮腫(悪性胸膜中皮腫を除く)」を適応症として、抗PD-1抗体薬であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ、以下オプジーボ)の適応追加承認申請を行ったと発表した。
悪性中皮腫は、体壁と臓器の間(体腔)の表面を覆う中皮やその下の結合組織の未分化な間葉細胞に由来する悪性腫瘍の総称であり、発生部位によって悪性胸膜中皮腫や悪性心膜中皮腫、悪性腹膜中皮腫などに分類される。悪性中皮腫の罹患者数は2,283人と推計されており、部位別では悪性胸膜中皮腫が約85%を占める。これまで胸膜悪性中皮腫に対してはオプジーボ単剤療法やオプジーボ+ヤーボイ併用療法が承認されているが、それ以外の部位の悪性中皮腫に対しては標準治療が確立されていないため、治療薬の開発が望まれている。
今回の承認申請は、第2相臨床試験であるVIOLA試験(HCM-002)の結果に基づくもの。VIOLA試験は、化学療法による前治療歴のある、もしくは未治療の悪性中皮腫(悪性胸膜中皮腫を除く)患者を対象に、2週を1サイクルとしてオプジーボ240mgを投与した際の有効性と安全性を評価した医師主導試験である。
オプジーボは、2023年2月に悪性中皮腫(悪性胸膜中皮腫を除く)に対する希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受けている。なお、悪性中皮腫のうち、悪性胸膜中皮腫に対しては、日本国内で2018年8月にオプジーボ単剤療法が、2021年5月にオプジーボとヤーボイ(一般名:イピリムマブ)との併用療法が承認されている。
オプジーボとは オプジーボはPD-1(programmed death-1)を標的とする免疫チェックポイント阻害薬の1つ。PD-1とPD-1リガンドの経路を阻害することで身体の免疫系を利用してがんを攻撃する。2014年7月に日本国内において悪性黒色腫の承認を取得以降、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっている。
参照元:小野薬品工業株式会社 ニュースリリース