ニュベクオが遠隔転移を有する前立腺がんの適応追加承認を取得ーバイエル薬品ー


  • [公開日]2023.03.08
  • [最終更新日]2023.03.06

2月27日、バイエル薬品株式会社は、「遠隔転移を有する前立腺がん」を適応症として、経口アンドロゲン受容体阻害剤(ARi)ニュベクオ(一般名:ダロルタミド、以下ニュベクオ)の製造販売承認事項一部変更承認を2月24日に取得したと発表した。

前立腺がんは、男性が罹患するがんとしては世界で2番目に多いがん腫である。ほとんどの患者では、がんが前立腺に限局した状態で発見されるため、手術や放射線療法で根治を目指すことが可能である。一方で再発後はアンドロゲン遮断療法(ADT)を基本とし、ADT単剤のほか、アンドロゲン受容体阻害剤や化学療法との併用療法が選択肢となる。しかしながら、遠隔転移を有する前立腺がんは去勢抵抗性前立腺がんへと移行してしまうという現状がある。

今回の承認は第3相ARASENS試験の結果に基づくもの。同試験は、遠隔転移を有する前立腺がん患者(N=1306人)を対象に、ニュベクオ600mg+ADT+ドセタキセル併用療法の有効性安全性をADT+ドセタキセル併用療法と比較検証したランダム化比較試験である。

同試験の結果、ニュベクオ+ADT+ドセタキセル併用群は、ADT+ドセタキセル併用群に対して死亡(OS)リスクを32.5%統計学的有意に減少させることが示された。

独バイエル社のオンコロジー・ストラテジック事業部責任者であるクリスティーン・ロス氏は「前立腺がんは、日本人男性にとって最も罹患数の多いがんです。近年の進歩にもかかわらず、遠隔転移を有する前立腺がん患者の多くは、2~3年の内に病状が進行すると言われています。日本の前立腺がんの患者さんに、疾患の進行を遅らせ、生存期間を延長し、QOLの維持につながる可能性がある、新たな治療選択肢を提供できることを嬉しく思います。バイエルは、前立腺がんと共に生きる人々が、大切な人とより充実した時間を過ごせるよう貢献し、前立腺がんと共に生きる意味を再定義することをミッションとしています」と述べている。

ニュベクオ(一般名:ダロルタミド)とは
ニュベクオはアンドロゲン受容体阻害剤(ARi)であり、1日2回経口投与を行う。受容体と高い親和性で結合して、強力な阻害作用を発揮するよう設計されており、受容体機能と前立腺がん細胞の増殖を阻害する。海外では、遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺がん(nmCRPC)の治療薬として米国やEU、中国など80以上の国や地域で承認されている。

参照元:
バイエル薬品株式会社 プレスルーム

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