未治療の進行/転移性腎細胞がんに対するオプジーボ+カボメティクス併用療法、無増悪生存期間を延長ASCO GU 2023より


  • [公開日]2023.03.03
  • [最終更新日]2023.03.01
この記事の3つのポイント
・未治療の進行/転移性腎細胞がん患者が対象の第3相試験
一次治療としてオプジーボカボメティクス併用療法の有効性安全性スニチニブと比較検証
無増悪生存期間は、オプジーボ+カボメティクス併用群で16.6ヶ月を示し、
 スニチニブ単剤群(8.4ヶ月)に対して延長を認めた

2月16日~18日、米国カリフォルニア州・サンフランシスコにて開催された泌尿器癌シンポジウム(ASCO GU 2023)にて未治療の進行/転移性腎細胞がん(RCC)患者に対する抗PD-1抗体薬であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ、以下オプジーボ)+マルチキナーゼ阻害薬であるカボメティクス(一般名:カボザンチニブ、以下カボメティクス)併用療法の有効性、安全性を検証した第3相のCheckMate-9ER試験(NCT03141177)の3年長期フォローアップ成績の結果がBradford Hill Clinical Research CenterのMauricio Burotto氏らにより公表された。

CheckMate-9ER試験とは、未治療の進行/転移性腎細胞がん(RCC)患者(N=323人)に対して2週を1サイクルとしてオプジーボ240mg+1日1回カボメティクス40mg併用療法を実施する群、または6週を1サイクルとして1日1回スニチニブ50mg単剤を4週間投与後、2週間休薬する群に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間OS)、客観的奏効率ORR)、有害事象(AE)発症率などを比較検証した多国籍共同無作為化非盲検の第3相試験である。

本試験が開始された背景として、進行/転移性腎細胞がん(RCC)に対する治療薬として抗PD-1抗体薬オプジーボ+マルチキナーゼ阻害薬カボメティクスは全生存期間(OS)が統計学的有意に改善することが示されている。今回は、未治療の進行/転移性腎細胞がん(RCC)患者に対する抗PD-1抗体薬オプジーボ+マルチキナーゼ阻害薬カボメティクス併用療法の最低3年間の追跡調査における有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験のフォローアップ期間中央値36.5ヶ月時点における結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は、オプジーボ+カボメティクス併用群の16.6ヶ月に対してスニチニブ単剤群で8.4ヶ月(HR:0.58、95%信頼区間:0.48-0.71、P<0.0001)を示した。副次評価項目である全生存期間(OS)中央値は、オプジーボ+カボメティクス併用群の49.5ヶ月に対してスニチニブ単剤群で35.5ヶ月(HR:0.70、95%信頼区間:0.56-0.87、P=0.0014)を示した。

客観的奏効率(ORR)はオプジーボ+カボメティクス併用群の56%(95%信頼区間:50–61%)に対してスニチニブ単剤群で28%(95%信頼区間:24–34%)、完全奏効率(CR)はオプジーボ+カボメティクス併用群の12%に対してスニチニブ単剤群で5%をそれぞれ示した。

一方、安全性として治療関連有害事象(TRAE)発生率は、オプジーボ+カボメティクス併用群の97%に対してスニチニブ単剤群で93%であった。また、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)はオプジーボ+カボメティクス併用群の67%に対してスニチニブ単剤群で55%であった。

以上のCheckMate-9ER試験の3年長期フォローアップ成績の結果より、Mauricio Burotto氏らは「未治療の進行/転移性腎細胞がん(RCC)患者に対する抗PD-1抗体薬であるオプジーボ+マルチキナーゼ阻害薬であるカボメティクス併用療法は、生存率と奏効率が維持され、全生存期間も前回のデータカットオフから改善を認めました。このことは、本疾患においてオプジーボ+カボメティクス併用療法が第一選択薬となることを支持するものです」と結論を述べている。

Nivolumab plus cabozantinib vs sunitinib for first-line treatment of advanced renal cell carcinoma (aRCC): 3-year follow-up from the phase 3 CheckMate 9ER trial.(2023 ASCO GU Cancers Symposium, Abstract #603)

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