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転移性乳頭状腎がんに対するMET阻害薬サボリチニブ+イミフィンジ併用療法、MET遺伝子変異陽性群で客観的奏効率53%を示す

[公開日] 2023.03.01[最終更新日] 2023.03.01

この記事の3つのポイント ・転移性乳頭状腎がん患者が対象の第2相試験 ・サボリチニブ+イミフィンジ併用療法の有効性・安全性を検証 ・客観的奏効率は全患者群で29%であり基準を満たさなかったが、MET遺伝子変異陽性群では53%を示した

2月21日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて転移性乳頭状腎がんに対するMET阻害薬であるサボリチニブ+抗PD-L1抗体薬であるイミフィンジ(一般名:デュルバルマブ、以下イミフィンジ)併用療法の安全性と有効性を検討する第2相のCALYPSO試験(NCT02819596)の結果がHospital Universitari Vall d'HebronのCristina Suárez氏らにより公表された。

CALYPSO試験は、転移性乳頭状腎がん患者(N=41人)に対して4週を1サイクルとして1日1回サボリチニブ600mg+イミフィンジ1500mg併用療法を実施し、主要評価項目として用量制限毒性(DLT)、客観的奏効率(ORR:主要評価項目達成基準として奏効率50%以上)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、奏効持続期間(DOR)などを検証したシングルアームオープンラベルランダム化の第2相試験である。

転移性乳頭状腎がんは治療選択肢が非常に限られており、その予後は不良である。一般的に、進行性乳頭状腎がんに対してはチロシンキナーゼ阻害薬であるスニチニブ単剤療法が投与されるが、その客観的奏効率(ORR)は10%未満、無増悪生存期間(PFS)中央値は6ヶ月未満であった。(参考:J Clin Oncol. 2017 Sep 10;35(26):2993-3001. doi: 10.1200/JCO.2017.72.2967. Epub 2017 Jun 23.

別の第2相のPAPMET/SWOG1500試験(NCT02761057)では、進行性乳頭状腎がん患者に対するマルチキナーゼ阻害薬であるカボザンチニブ単剤療法、スニチニブ単剤療法を比較した結果、MET遺伝子変異のある患者群における客観的奏効率(ORR)はカボザンチニブ単剤群の23%に対してスニチニブ単剤群で4%、無増悪生存期間(PFS)中央値は9.0ヶ月に対して5.6ヶ月(HR:0.60、95%信頼区間:0.37-0.97、P=0.019)を示している。(参考:Lancet. 2021 Feb 20;397(10275):695-703. doi: 10.1016/S0140-6736(21)00152-5. Epub 2021 Feb 13.

また、METならびにPD-L1経路を阻害する有用性を示す根拠も存在するため、転移性乳頭状腎がんに対するMET阻害薬であるサボリチニブ+抗PD-L1抗体薬であるイミフィンジ併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験の結果、全患者群における客観的奏効率(ORR)は29%(95%信頼区間:16-46%、N=12人)であり、主要評価項目達成基準を満たさなかった。MET遺伝子変異陽性群における客観的奏効率(ORR)は53%(95%信頼区間:28-77%)、PD-L1陽性群における客観的奏効率(ORR)は33%(95%信頼区間:17-54%)を示した。

副次評価項目である全患者群における無増悪生存期間(PFS)中央値は4.9ヶ月(95%信頼区間:2.5-10.0ヶ月)、MET遺伝子変異陽性群における無増悪生存期間(PFS)中央値は12.0ヶ月(95%信頼区間:2.9-19.4ヶ月)を示した。全患者群における全生存期間(OS)中央値は14.1ヶ月(95%信頼区間:7.3-30.7ヶ月)、MET遺伝子変異陽性群における全生存期間(OS)中央値は27.4ヶ月(95%信頼区間:9.3ヶ月-未到達)を示した。

一方、安全性として、グレード3以上治療関連有害事象(TRAE)は、41%(N=17人)で発生し、グレード5の治療関連有害事象(TRAE)は脳梗塞1人であった。

以上の第2相CALYPSO試験の結果より、Cristina Suárez氏らは「転移性乳頭状腎がんに対するサボリチニブ+イミフィンジ併用療法はMET遺伝子変異陽性群に対して良好な忍容性を示し、高い奏効率を示しました」と結論を述べている。

Phase II Study Investigating the Safety and Efficacy of Savolitinib and Durvalumab in Metastatic Papillary Renal Cancer (CALYPSO)(J Clin Oncol. 2023 Feb 21;JCO2201414. doi: 10.1200/JCO.22.01414.)
ニュース 腎臓がん NCT02819596

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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