2月20日、ファイザー株式会社は、ホルモン受容体陽性/HER2陰性の進行/転移性乳がん患者に対するCKD4/6を阻害する分子標的薬イブランス(一般名:パルボシクリブ)+タモキシフェン併用療法の有効性と安全性を検証した第3相PATHWAY試験の初回解析結果を発表した。
PATHWAY試験は、国立がん研究センター主導による国際共同の医師主導治験。国内における新たな枠組みであるClinical Research Collaboration(CRC)として、日本からは12施設参加し、国外からは韓国、台湾、シンガポールの4か国で実施された。
アジア国際共同ランダム化第3相試験である同試験は、ホルモン受容体陽性/HER2陰性の進行/転移性乳がん患者(N=184人)に対して、28日を1サイクルとして1~21日目に1日1回イブランス125mg+1日1回タモキシフェン20mg併用療法を実施する群と28日を1サイクルとして1~21日目に1日1回プラセボ+1日1回タモキシフェン併用療法を実施する群に振り分け、無増悪生存期間(PFS)や全生存期間(OS)、安全性などを検証した。
その結果、無増悪生存期間(PFS)はイブランス+タモキシフェン併用群がプラセボ+タモキシフェン併用群に対して統計学的かつ臨床的に意味のある延長を示し、主要目的を達成。全生存期間(OS)は、イブランス+タモキシフェン併用群で良好な傾向がみられたが、引き続き追跡調査が実施されている。
一方安全性として、イブランス+タモキシフェン併用群の忍容性は、これまでに報告されているイブランス+内分泌療法併用療法で認められた安全性プロファイルと同様であった。
以上の結果より、ファイザーR&D合同会社社長である石橋太郎氏はプレスリリースにて、「タモキシフェンは、主に閉経前/閉経期進行乳がんに対する一次治療および閉経後進行乳がんの二次治療以降の治療として広く用いられていますが、これまでパルボシクリブをタモキシフェンと併用投与したときの有効性を検証する第3相試験は実施されていませんでした。アカデミアと企業が共同したPATHWAY試験が主要目的を達成したこととともに、本試験によりパルボシクリブとタモキシフェンの併用投与が進行乳がん患者において臨床的ベネフィットを示す重要な結果が得られたことをうれしく思います」と述べている。
イブランス(一般名:パルボシクリブ)とは イブランスはCDK4/6を阻害する分子標的薬である。細胞周期の調整に重要な役割を果たすCDK4/6を選択的に阻害し、細胞周期の進行を停止させることで腫瘍の増殖を抑制すると言われている。イブランスとタモキシフェンの併用療法は現時点では推奨されていない。
参照元:ファイザー株式会社 プレスリリース