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ホルモン感受性転移性前立腺がんに対する新規経口アンドロゲン受容体阻害薬ダロルタミド+ADT+ドセタキセル療法、腫瘍ステータスにかかわらず有益性を示す

[公開日] 2023.02.28[最終更新日] 2023.02.28

この記事の3つのポイント ・ホルモン感受性転移性前立腺がん患者が対象の第3相試験 ・ダロルタミド+ADT+ドセタキセル療法の有効性・安全性をプラセボ+ADT+ドセタキセル療法と比較検証 ・全患者群における全生存期間はプラセボ群に対して死亡リスクを32.5%減少させ、腫瘍ステータス別の解析においても有益性を示した

2月16日~18日、米国カリフォルニア州・サンフランシスコにて開催された泌尿器癌シンポジウム(ASCO GU 2023)にてホルモン感受性転移性前立腺がん患者に対する新規経口アンドロゲン受容体阻害薬ダロルタミド+アンドロゲン除去療法(ADT)+ドセタキセルの有効性、安全性を比較検証した第3相のARASENS試験(NCT02799602)における腫瘍病変量や高/低リスク病変などのステータス別の全生存期間(OS)の結果がNorthwestern UniversityのMaha H. A. Hussain氏らにより公表された。

ARASENS試験は、ホルモン感受性転移性前立腺がん患者(N=1305人)に対して1日2回ダロルタミド600mg+ADT+ドセタキセルを投与する群(N=651人)、もしくはプラセボ+ADT+ドセタキセルを投与する群(N=654人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)を比較検証した国際多施設共同ランダム化の第3相試験である。

本試験が開始された背景として、転移性前立腺がん患者に対する標準治療はADT+ドセタキセルの2剤併用療法である。しかしながら、第3相のPEACE-1試験(NCT01957436)では悪性度が高い(多発性転移を認める)転移性前立腺がん患者に対してADT+ドセタキセル2剤併用療法への次世代アンドロゲン受容体シグナル阻害薬(ART薬)であるアビラテロンの上乗せにより、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を改善することが示されている。(参考:Lancet. 2022 Apr 30;399(10336):1695-1707. doi: 10.1016/S0140-6736(22)00367-1. Epub 2022 Apr 8.

以上の背景より、ホルモン感受性転移性前立腺がん患者に対する新規経口アンドロゲン受容体阻害薬ダロルタミド+ADT+ドセタキセルの有用性を比較検証する目的で本試験が開始された。

本試験の結果、主要評価項目である全患者群(ITT)における全生存期間(OS)はプラセボ+ADT+ドセタキセル併用群に比べてダロルタミド+ADT+ドセタキセル併用群で死亡(OS)のリスクを32.5%(HR:0.68、95%信頼区間:0.57-0.80、P<0.0001)減少した。

De novoの転移を有する患者群における全生存期間(OS)はプラセボ+ADT+ドセタキセル併用群に比べてダロルタミド+ADT+ドセタキセル併用群で死亡(OS)のリスクを29%(HR:0.71、95%信頼区間:0.59-0.85)減少した。

再発患者群における全生存期間(OS)はプラセボ+ADT+ドセタキセル併用群に比べてダロルタミド+ADT+ドセタキセル併用群で死亡(OS)のリスクを39%(HR:0.61、95%信頼区間:0.35-1.05)減少した。

High-volume disease患者群における全生存期間(OS)はプラセボ+ADT+ドセタキセル併用群に比べてダロルタミド+ADT+ドセタキセル併用群で死亡(OS)のリスクを31%(HR:0.69、95%信頼区間:0.57-0.82)減少した。

Low-volume disease患者群における全生存期間(OS)はプラセボ+ADT+ドセタキセル併用群に比べてダロルタミド+ADT+ドセタキセル併用群で死亡(OS)のリスクを32%(HR:0.68、95%信頼区間:0.41-1.13)減少した。

高リスク患者群における全生存期間(OS)はプラセボ+ADT+ドセタキセル併用群に比べてダロルタミド+ADT+ドセタキセル併用群で死亡(OS)のリスクを29%(HR:0.71、95%信頼区間:0.58-0.86)減少した。

低リスク患者群における全生存期間(OS)はプラセボ+ADT+ドセタキセル併用群に比べてダロルタミド+ADT+ドセタキセル併用群で死亡(OS)のリスクを38%(HR:0.62、95%信頼区間:0.42-0.90)減少した。

一方、安全性として有害事象の発生率は、腫瘍病変量やリスク病変のステータスごとと全患者にて同様の傾向であった。

以上の第3相のARASENS試験の結果より「ホルモン感受性転移性前立腺がん患者に対する新規経口アンドロゲン受容体阻害薬ダロルタミド+ADT+ドセタキセルは、腫瘍病変量やリスク病変にかかわらず有益性を示し、安全性プロファイルも良好でした。これはホルモン感受性転移性前立腺がんに対する新しい標準治療となる可能性が示唆されました」と結論を述べている。

Efficacy and safety of darolutamide (DARO) in combination with androgen-deprivation therapy (ADT) and docetaxel (DOC) by disease volume and disease risk in the phase 3 ARASENS study.(2023 ASCO GU Cancers Symposium, Abstract #15)
ニュース 前立腺がん NCT02799602

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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