2月2日、医学誌『The Lancet Oncology』にてプラチナ系抗がん剤+エトポシド併用療法のファーストライン治療後に病勢進行した進行性神経内分泌がん(Neuroendocrine carcinoma:NEC)患者に対するベバシズマブ+FOLFIRI併用療法の有効性、安全性を検証した第2相のBEVANEC試験(NCT02820857)の結果がHôpital Edouard HerriotのThomas Walter氏らにより公表された。
BEVANEC試験は、プラチナ系抗がん剤+エトポシド併用療法のファーストライン治療後に病勢進行した進行性神経内分泌がん(NEC)患者(N=133人)に対して2週を1サイクルとしてベバシズマブ5mg/kg+FOLFIRI併用療法を実施する介入群(N=65人)、2週を1サイクルとしてFOLFIRI併用療法を実施する比較群(N=68人)に無作為に振り分け、主要評価項目として6ヶ月全生存率を比較検証したランダム化オープンラベルの第2相試験である。
本試験が開始された背景として、進行性神経内分泌がん(NEC)のファーストライン治療として標準治療は確立されているが、二次治療の標準治療は存在しない。そこで、プラチナ系抗がん剤+エトポシド併用療法のファーストライン治療後に病勢進行した進行性神経内分泌がん(NEC)患者に対するベバシズマブ+FOLFIRI併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
なお、別の臨床試験であるRBNEC試験では、プラチナ系抗がん剤+エトポシド併用療法のファーストライン治療の奏効期間が少なくとも3ヶ月以上継続した進行性神経内分泌がん(NEC)患者に対しては、二次治療としてエトポシド再投与(Etoposide-based rechallenge)療法の有用性があることが示されている。 (参考:Second-line treatment and prognostic factors in neuroendocrine carcinoma: the RBNEC study)
本試験のフォローアップ期間中央値25.7ヶ月(95%信頼区間:22.0-38.2ヶ月)時点における結果、主要評価項目である6ヶ月全生存率(OS)は介入群であるベバシズマブ+FOLFIRI併用療法群の53%(80%信頼区間:43-61%)に対して比較群であるFOLFIRI併用療法群で60%(80%信頼区間:51-68%)を示した。
一方の安全性として、5%以上の患者に発現したグレード3~4の有害事象は、ベバシズマブ+FOLFIRI併用療法群では好中球減少症が14%(N=8人)、下痢が10%(N=10%)、無力症が8%(N=5人)、FOLFIRI併用療法群では好中球減少症が10%(N=7人)であった。
以上のBEVANEC試験の主要評価項目の結果よりThomas Walter氏らは「プラチナ系抗がん剤+エトポシド併用療法のファーストライン治療後に病勢進行した進行性神経内分泌がん(NEC)患者さんに対するFOLFIRI併用療法へのベバシズマブ追加投与の臨床的ベネフィットは確認されませんでした。進行性神経内分泌がん(NEC)患者さんに対する二次治療の標準治療はFOLFIRI併用療法が適切であると考えられます」と結論を述べている。
Bevacizumab plus FOLFIRI after failure of platinum–etoposide first-line chemotherapy in patients with advanced neuroendocrine carcinoma (PRODIGE 41-BEVANEC): a randomised, multicentre, non-comparative, open-label, phase 2 trial(Lancet Oncol. 2023 Feb 2;S1470-2045(23)00001-3. doi: 10.1016/S1470-2045(23)00001-3.)