再発/難治性慢性リンパ性白血病に対する次世代ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬ザヌブルチニブ単剤療法、無増悪生存期間を改善The New England Journal of Medicineより


  • [公開日]2023.02.09
  • [最終更新日]2023.02.06
この記事の3つのポイント
再発/難治性慢性リンパ性白血病患者が対象の第3相試験
・ザヌブルチニブ単剤療法有効性安全性をイブルチニブと比較検証
・ザヌブルチニブ群の無増悪生存期間はイブルチニブ群に対して病勢進行または死亡リスクを35%統計学的有意に改善した

2023年1月17日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて再発/難治性慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対する次世代ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬であるZanubrutinib(ザヌブルチニブ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相試験(NCT03734016)の結果がDana-Farber Cancer InstituteのJennifer R. Brown氏らにより公表された。

本試験は、再発/難治性慢性リンパ性白血病(CLL)患者(N=652人)に対してザヌブルチニブ単剤を投与する群、もしくはイブルチニブ単剤を投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として主治医評価の客観的奏効率ORR)、重要な副次評価項目として無増悪生存期間(PFS:イブルチニブ単剤群に比べてザヌブルチニブ単剤群の非劣性の検証)を検証した国際多施設共同ランダム化オープンラベルの第3相試験である。

本試験のフォローアップ期間中央値29.6ヶ月時点における結果、重要な副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)はイブルチニブ単剤群に比べてザヌブルチニブ単剤群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを35%統計学的有意に改善(HR:0.65、95%信頼区間:0.49-0.86、P=0.002)し、優越性が示された。24ヶ月無増悪生存率(PFS)はイブルチニブ単剤群の65.9%に対してザヌブルチニブ単剤群で78.4%を示した。

また、17p遺伝子異常、TP53遺伝子異常のいずれかまたは両方を有する患者群における無増悪生存期間(PFS)は、イブルチニブ単剤群に比べてザヌブルチニブ単剤群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを47%改善(HR:0.53、95%信頼区間:0.31-0.88)を示した。

一方の安全性としては、イブルチニブ単剤群に比べてザヌブルチニブ単剤群で良好であり、治療中止に関係した有害事象(AE)発症率はイブルチニブ単剤群に比べてザヌブルチニブ単剤群で低く、心血管系有害事象(AE)の発症率も低率であった。

以上の第3相試験の結果より、Jennifer R. Brown氏らは「再発/難治性慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対する次世代ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬ザヌブルチニブ単剤療法は、イブルチニブ単剤群に比べて無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善し、心血管系有害事象がより少なかったです」と結論を述べている。

Zanubrutinib or Ibrutinib in Relapsed or Refractory Chronic Lymphocytic Leukemia(N Engl J Med. 2023 Jan 26. doi: 10.1056/NEJMoa2211582.)

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