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甲状腺未分化がんに対するマルチキナーゼ阻害薬パゾパニブ+パクリタキセル+放射線療法、全生存期間を改善せず

[公開日] 2023.02.03[最終更新日] 2023.02.03

この記事の3つのポイント ・甲状腺未分化がん患者が対象の第2相試験 ・パゾパニブ+パクリタキセル+放射線療法の有効性・安全性をパクリタキセル+放射線療法と比較検証 ・全生存期間はパゾパニブ+パクリタキセル+放射線療法で5.7ヶ月と、パクリタキセル+放射線療法(7.3ヶ月)に対して延長を示せず
2023年1月18日、医学誌『The Lancet Oncology』にて甲状腺未分化がん(ATC)患者に対するマルチキナーゼ阻害薬であるパゾパニブ+パクリタキセル+放射線療法の有効性、安全性を検証した第2相のNRG/RTOG 0912試験(NCT01236547)の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのEric J Sherman氏らにより公表された。 NRG/RTOG 0912試験は、甲状腺未分化がん(ATC)患者(N=71人)に対して、週に1回パクリタキセル80mg/m2+1日1回パゾパニブ400mg併用療法を実施し、強度変調放射線治療(IMRT)を実施する群(N=36人)、もしくは週に1回パクリタキセル80mg/m2+1日1回プラセボ併用療法を実施し、強度変調放射線治療(IMRT)を実施する群(N=35人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全患者群における全生存期間(OS)、その他評価項目として安全性を比較検証した二重盲検下プラセボ対照の第2相試験である。 本試験が開始された背景として、甲状腺未分化がん(ATC)は希少で、進行が速く、標準治療のないがんである。以上の背景より、マルチキナーゼ阻害薬であるパゾパニブ+パクリタキセル+放射線療法の有用性を比較検証する目的で本試験が開始された。 本試験のフォローアップ期間中央値2.9年、61人の患者の死亡(OS)が確認された時点における結果、主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はパゾパニブ+パクリタキセル+強度変調放射線治療(IMRT)群の5.7ヶ月(95%信頼区間:4.0-12.8ヶ月)に対してプラセボ+パクリタキセル+強度変調放射線治療(IMRT)群で7.3ヶ月(95%信頼区間:4.3-10.6ヶ月)と、パゾパニブ+パクリタキセル+強度変調放射線治療(IMRT)群で全生存期間(OS)を統計学有意に改善しなかった(HR:0.86、95%信頼区間:0.52-1.43、P=0.28)。1年全生存率(OS)はパゾパニブ+パクリタキセル+強度変調放射線治療(IMRT)群の37.1%(95%信頼区間:21.1-53.2%)に対してプラセボ+パクリタキセル+強度変調放射線治療(IMRT)群で29.0%(95%信頼区間:13.2-44.8%)を示した。 一方の安全性として、グレード3~5の有害事象(AE)発症率は両群間で同等であり、パゾパニブ+パクリタキセル+強度変調放射線治療(IMRT)群の88.9%(N=32/36人)に対してプラセボ+パクリタキセル+強度変調放射線治療(IMRT)群で85.3%(N=29/34人)であった(p=0.73)。最も多くの患者で確認されたグレード3~4の有害事象(AE)は、嚥下障害が36%対29%、放射線皮膚炎が22%対38%、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加が33%対0%、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加が22%対0%、口腔粘膜炎が14%対24%であった。 重要な治療関連有害事象(TRAE)発症率は、パゾパニブ+パクリタキセル+強度変調放射線治療(IMRT)群の44%(N=16人)に対してプラセボ+パクリタキセル+強度変調放射線治療(IMRT)群で35%(N=12人)を示した。なお、治療関連有害事象(TRAE)による死亡は各群1人ずつ確認された。 以上のNRG/RTOG 0912試験の結果よりEric J Sherman氏らは「甲状腺未分化がん(ATC)患者に対するマルチキナーゼ阻害薬であるパゾパニブ+パクリタキセル+放射線療法は全生存期間(OS)を統計学有意に改善しませんでしたが、安全性は良好であることが確認されました」と結論を述べている。 Radiotherapy and paclitaxel plus pazopanib or placebo in anaplastic thyroid cancer (NRG/RTOG 0912): a randomised, double-blind, placebo-controlled, multicentre, phase 2 trial(Lancet Oncol. 2023 Jan 18;S1470-2045(22)00763-X. doi: 10.1016/S1470-2045(22)00763-X.)
ニュース 甲状腺がん NCT01236547

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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