治療歴のある再発/難治性多発性骨髄腫に対するダラツムマブ+レナリドミド+デキサメタゾン、全生存期間を延長Journal of Clinical Oncologyより


  • [公開日]2023.01.30
  • [最終更新日]2023.01.16
この記事の3つのポイント
・治療歴のある再発/難治性多発性骨髄腫患者が対象の第3相試験
ダラツムマブレナリドミド+デキサメタゾン(D-Rd)併用療法有効性安全性をレナリドミド+デキサメタゾン(Rd)と比較検証
全生存期間はD-Rd療法で67.6ヶ月、Rd療法で51.8ヶ月であり、統計学的有意に改善した

2023年1月4日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて治療歴のある再発/難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者に対する抗CD38モノクローナル抗体であるダラツムマブ+レナリドミド+デキサメタゾン併用療法、レナリドミド+デキサメタゾン併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のPOLLUX試験(NCT02076009)の最終解析の結果がNational and Kapodistrian University of AthensのMeletios A. Dimopoulos氏らにより公表された。

POLLUX試験は、1レジメン以上の治療歴のある再発/難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者を対象にダラツムマブ+レナリドミド+デキサメタゾン併用療法を実施する群、もしくはレナリドミド+デキサメタゾン併用療法を実施する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)などを比較検証した多施設共同ランダム化オープンラベルの第3相試験である。

本試験の最終解析結果が開始された背景として、ダラツムマブ+レナリドミド+デキサメタゾン併用療法は追跡期間中央値13.5ヶ月時点における初回解析にて、レナリドミド+デキサメタゾン併用療法に比べて無増悪生存期間(PFS)を統計学有意に改善することが示された。以上の背景より、今回は、最終解析での全生存期間(OS)の結果が検証された。

本試験のフォローアップ期間中央値79.7ヶ月時点における解析の結果、副次評価項目である全生存期間(OS)中央値はレナリドミド+デキサメタゾン併用群の51.8ヶ月に対してダラツムマブ+レナリドミド+デキサメタゾン併用群で67.6ヶ月を示し、ダラツムマブ+レナリドミド+デキサメタゾン併用群で死亡(OS)のリスクを27%統計学的有意に改善した(HR:0.73、95%信頼区間:0.58-0.91、P=0.0044)。

事前設定したサブグループ解析では、65歳以上の患者、1~3レジメン治療歴のある患者、ISSステージ分類ステージIIIの患者、ハイリスク染色体異常のある患者、直近治療薬もしくはプロテアソーム阻害薬に対して難治性を示した患者においても全生存期間(OS)の改善を認めた。

一方の安全性として、10%以上の患者で確認されたグレード3もしくは4の治療関連有害事象(TRAE)は下記の通りである。好中球減少症がレナリドミド+デキサメタゾン併用群の41.6%に対してダラツムマブ+レナリドミド+デキサメタゾン併用群で57.6%、貧血が22.4%対19.8%、肺炎が11.0%対17.3%、血小板減少症が15.7%対15.5%、下痢が3.9%対10.2%であった。

以上のPOLLUX試験の最終解析の結果よりMeletios A. Dimopoulos氏らは「1レジメン以上の治療歴のある再発/難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者に対してレナリドミド+デキサメタゾン+抗CD38モノクローナル抗体であるダラツムマブ併用療法は、レナリドミド+デキサメタゾン併用療法に比較して全生存期間(OS)を統計学有意に改善しました。我々の知る限り、本試験は、本疾患に対して第3相のCASTOR試験のボルテゾミブ+デキサメタゾン+ダラツムマブ併用療法と合わせてダラツムマブを含む治療レジメンにおいて、全生存期間(OS)の改善を初めて示した試験になります」と結論を述べている。

Overall Survival With Daratumumab, Lenalidomide, and Dexamethasone in Previously Treated Multiple Myeloma (POLLUX): A Randomized, Open-Label, Phase III Trial(J Clin Oncol. 2023 Jan 4;JCO2200940. doi: 10.1200/JCO.22.00940.)

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