未治療の慢性リンパ性白血病に対する固定治療期間のイムブルビカ+ベネクレクスタ併用療法、18ヶ月間の微小残存病変状態を維持ASH 2022


  • [公開日]2023.01.19
  • [最終更新日]2023.01.04
この記事の3つのポイント
・未治療の慢性リンパ性白血病患者が対象の第3相試験
・イムブルビカ+ベネクレクスタ併用療法有効性安全性をクロラムブシル+オビヌツズマブと比較検証
微小残存病変状態の患者はイムブルビカ+ベネクレクスタ投与のIGHV遺伝子変異陰性群で80.0%、IGHV遺伝子変異陽性群で76.9%であり、18ヶ月後まで微小残存病変を維持した

2022年12月10~13日、米国ルイジアナ州・ニューオーリンズで開催されたASH 2022 Annual Meetingにて未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対して、固定期間投与のブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬であるイムブルビカ(一般名:イブルチニブ、以下イムブルビカ)+B細胞性リンパ腫-2(BCL-2)阻害薬であるベネクレクスタ(一般名:ベネトクラクス、以下ベネクレクスタ)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のGLOW試験(NCT03462719)の結果がRigshospitalet Copenhagen University HospitalのCarsten U Niemann氏らにより公表された。

GLOW試験は、65歳以上、または18歳~64歳でCIRS>6もしくはクレアチニン・クリアランス<70mL/分未満の未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対して28日を1サイクルとして1日1回イムブルビカ420mg単剤療法を3サイクル実施後、28日を1サイクルとしてイムブルビカ420mg/日+ベネクレクスタ20mg~400mg/日併用療法を12サイクル実施する群、もしくは28日を1サイクルとして1、15日目にクロラムブシル0.5mg/kg+1サイクル目の1、8、15日目にオビヌツズマブ1000mg(2サイクル目以降は1日目のみ)併用療法を6サイクル実施する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として独立審査委員会の評価による無増悪生存期間PFS)、副次評価項目として骨髄における微小残存病変陰性(NGSによるカットオフ値が10-4)と完全奏効(CR)率、奏効率全生存期間OS)、安全性などを検証した第3相試験である。

本試験が開始された背景として、65歳以上、または18歳~64歳でCIRS>6を超えるかクレアチニン・クリアランス<70mL/分未満の未治療慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対するイムブルビカ+ベネクレクスタ併用療法は無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善することが示されている。IGHV遺伝子変異、TP53遺伝子変異は治療成績を悪化させるリスクファクターである。以上の背景より、IGHV遺伝子変異、TP53遺伝子変異ステータス別のイムブルビカ+ベネクレクスタ併用療法の有効性を検証する目的で本解析が開始された。

本試験のIGHV遺伝子変異ステータスは、イムブルビカ+ベネクレクスタ併用群でIGHV遺伝子変異陰性が63.2%、IGHV遺伝子変異陽性が30.2%、IGHV遺伝子ステータス不明が6.6%に対して、クロラムブシル+オビヌツズマブ併用群でIGHV遺伝子変異陰性が54.3%、IGHV遺伝子変異陽性が33.3%、IGHV遺伝子ステータス不明が12.4%であった。

本試験の結果、治療終了後に微小残存病変検出不能(uMRD)な患者の割合は、イムブルビカ+ベネクレクスタ併用のIGHV遺伝子変異陰性群で80.0%(N=32/40人)、IGHV遺伝子変異陽性群で76.9%(N=10/13人)、クロラムブシル+オビヌツズマブ併用のIGHV遺伝子変異陰性群で83.3%(N=25/30人)、IGHV遺伝子変異陽性群で42.9%(N=6/14人)を示した。また、治療終了3ヶ月後に微小残存病変(MRD)が検出された患者のうち、治療終了18ヶ月後までに病勢進行した患者はIGHV遺伝子変異陰性群で2/16人、IGHV遺伝子変異陽性群で0/14人だった。また、TP53遺伝子変異陽性群で治療終了3ヶ月後に微小残存病変検出不能(uMRD)な患者は5/7人で、5人全員が治療終了18ヶ月後まで微小残存病変検出不能(uMRD)を維持した。

以上のGLOW試験の結果よりCarsten U Niemann氏らは「未治療慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対する固定治療期間のイムブルビカ+ベネクレクスタ併用療法は、クロラムブシル+オビヌツズマブ併用群に比べて治療終了後の18ヶ月間で微小残存病変検出不能(uMRD)を維持しました。また、微小残存病変検出不能(uMRD)な状態(uMRD)はIGHV遺伝子変異ステータスに関係なく維持されました」と結論を述べている。

Residual Disease Kinetics Among Patients with High-Risk Factors Treated with First-Line Fixed-Duration Ibrutinib Plus Venetoclax (Ibr+Ven) Versus Chlorambucil Plus Obinutuzumab (Clb+O): The Glow Study(64th ASH Annual Meeting & Exposition,Abstract 93)

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