2022年12月10日~13日、米国ルイジアナ州・ニューオーリンズで開催されたASH 2022 Annual Meetingにて濾胞性リンパ腫(FL)患者に対するファーストライン治療としての抗CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブ+免疫調整薬(iMids)であるレナリドミド+抗CD3/CD20二重特異性抗体であるEpcoritamab(エプコリタマブ)併用療法の有効性、安全性を検証した第1/2相のEPCORE NHL-2試験(NCT04663347)の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのLorenzo Falchi氏らにより公表された。
本試験は、濾胞性リンパ腫(FL)患者に対するファーストライン治療として28日を1サイクルとして週1回エプコリタマブ(1サイクル~2サイクル目、以降は4週に1回)+リツキシマブ+レナリドミド併用療法を最大2年間実施し、評価項目として奏効率(RR)などを検証したオープンラベルの第1/2相試験である。
本試験が開始された背景として、複数治療歴のあるB細胞性非ホジキンリンパ腫に対するエプコリタマブ単剤療法は深い奏効を示し、良好な安全性プロファイルであることが確認されている。濾胞性リンパ腫(FL)に対するファーストライン治療の開発により治療成績は向上しているが、依然として治癒が困難な疾患である。以上の背景より、濾胞性リンパ腫(FL)患者に対するファーストライン治療としての抗CD20モノクローナル抗体リツキシマブ+免疫調整薬(iMids)レナリドミド+抗CD3/CD20二重特異性抗体エプコリタマブ併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験に登録された41人の患者背景は下記の通りである。年齡中央値は57歳(39~78歳)、病理組織学的分類はグレード2もしくは3Aが85%、病期ステージはステージIIIが39%、IVが51%。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
本試験の結果、奏効評価可能であった29人の患者における客観的奏効率(ORR)は90%(N=26/29人)、代謝学的完全奏効率(complete metabolic response;CMR)は69%(N=20/29人)の患者で確認された。
一方、安全性として、エプコリタマブの治療関連有害事象(TRAE)発症率は88%(N=36人)を示した。その内訳は、サイトカイン放出症候群(CRS)の全グレードが51%(グレード1が34%、グレード2が17%、グレード3と4が0%)、好中球減少症の全グレードが41%(グレード1~2が27%、グレード3~4が24%)、食欲不振の全グレードが41%(グレード1~2が41%)、インフュージョンリアクションの全グレードが37%(グレード1~2が37%)、倦怠感の全グレードが29%(グレード1~2が29%)、頭痛の全グレードが29%(グレード1~2が27%、グレード3~4が2%)、便秘の全グレードが27%(グレード1~2が27%)、皮膚障害の全グレードが27%(グレード1~2が20%、グレード3~4が7%)であった。なお、大半のサイトカイン放出症候群(CRS)はエプコリタマブ治療開始の1サイクル目で発症しており、サイトカイン放出症候群(CRS)を原因として治療中止に至るケースは確認されなかった。
以上のEPCORE NHL-2試験の結果よりLorenzo Falchi氏らは「濾胞性リンパ腫(FL)患者に対するファーストライン治療としての抗CD20モノクローナル抗体リツキシマブ+免疫調整薬(iMids)レナリドミド+抗CD3/CD20二重特異性抗体Epcoritamab併用療法は管理可能な安全性プロファイルを示し、本試験で新たに確認された有害事象(AE)はありませんでした。また、抗腫瘍効果も良好な結果を示しています」と結論を述べている。
Subcutaneous Epcoritamab in Combination with Rituximab + Lenalidomide (R2) for First-Line Treatment of Follicular Lymphoma: Initial Results from Phase 1/2 Trial(62nd ASH Annual Meeting & Exposition,Abstract 611)