2022年12月10日~13日、米国ルイジアナ州・ニューオーリンズで開催されたASH 2022 Annual Meetingにて治療歴のある再発難治性ワルデンストレームマクログロブリン血症(WM)患者に対する非共有結合型BTK阻害薬であるピルトブルチニブ(pirtobrutinib)単剤療法の有効性、安全性を検証した第1/2相のBRUIN試験(NCT03740529)の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのM.Lia Palomba氏らにより公表された。
BRUIN試験は、再発/難治性ワルデンストレームマクログロブリン血症(WM)を含むB細胞性悪性腫瘍患者(N=78人)に対して1日1回ピルトブルチニブ200mg単剤を投与し、重要な評価項目として主治医評価の客観的奏効率(ORR)、奏効持続期間(DOR)、安全性を検証した第1/2相試験である。なお、major response rateとして定義された奏効は完全寛解率(CR)、最良部分奏効(VGPR)、部分奏効(PR)である。
本試験に登録されたワルデンストレームマクログロブリン血症(WM)78人の患者背景は下記の通りである。年齡中央値は68歳(42~84歳)。前治療歴中央値は3レジメン(1~11レジメン)。前治療歴の種類は化学療法+抗CD20抗体薬が85%(N=66人)、BTK阻害薬が78%(N=61人)、化学療法+抗CD20抗体薬+BTK阻害薬が64%(N=50人)。BTK阻害薬歴のある61人の患者のうち、病勢進行を原因として治療中止した患者は66%(N=40人)。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
評価可能であった72人の患者のうち、major response rateは68%(95%信頼区間:56-79%)、最良部分奏効(VGPR)24%(N=17人)、部分奏効(PR)44%(N=32人)を示した。フォローアップ期間中央値7.7ヶ月時点における結果、奏効持続期間(DOR)中央値は未到達(95%信頼区間:10ヶ月-未到達)、6ヶ月奏効持続率(DOR)は86%(95%信頼区間:69-94%)を示した。
サブグループ解析の結果、1レジメン以上のBTK阻害薬歴のある患者群(N=55人)におけるmajor response rateは64%(95%信頼区間:50-76%)、最良部分奏効(VGPR)24%(N=13人)、部分奏効(PR)40%(N=22人)を示した。奏効持続期間(DOR)中央値は未到達(95%信頼区間:8ヶ月-未到達)、6ヶ月推定奏効持続率(DOR)は83%(95%信頼区間:60-93%)を示した。
化学療法+抗CD20抗体薬歴のある患者群(N=60人)におけるmajor response rateは68%(95%信頼区間:55-80%)、最良部分奏効(VGPR)22%(N=13人)、部分奏効(PR)47%(N=28人)を示した。化学療法+抗CD20抗体薬+BTK阻害薬歴のある患者群(N=44人)におけるmajor response rateは64%(95%信頼区間:48-78%)、最良部分奏効(VGPR)21%(N=9人)、部分奏効(PR)43%(N=19人)を示した。
一方、安全性として、同研究に登録されたB細胞悪施腫瘍患者(N=725人)において最も多くの患者で見られた有害事象(TEAE)は、疲労が26%(N=191人)、下痢が22%(N=160人)、挫傷が19%(N=138人)であった。
以上のBRUIN試験の結果よりM.Lia Palomba氏らは「治療歴のある再発難治性ワルデンストレームマクログロブリン血症(WM)患者に対する非共有結合型BTK阻害薬ピルトブルチニブ単剤療法は、前治療歴のステータスにかかわらず持続的で良好な抗腫瘍効果を示しました」と結論を述べている。
Efficacy of Pirtobrutinib, a Highly Selective, Non-Covalent (Reversible) BTK Inhibitor in Relapsed / Refractory Waldenström Macroglobulinemia: Results from the Phase 1/2 BRUIN Study(64th ASH Annual Meeting & Exposition,Abstract 229)