2022年12月11日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて再発/難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者に対する抗CD20/CD3特異性抗体であるGlofitamab(グロフィタマブ:RO7082859)単剤療法の有効性、安全性を検証した第1/2相試験(NCT03075696)における第2相試験の結果がPeter MacCallum Cancer Centre in MelbourneのMichael J. Dickinson氏らにより公表された。
本試験は、再発/難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者(N=154人)に対してGlofitamab(RO7082859)単剤を投与し、主要評価項目として独立審査委員会(IRC)評価による完全寛解率(CR)、重要な副次評価項目として奏効持続期間(DOR)、全生存期間(OS)、安全性などを検証した第2相試験である。
本試験が開始された背景として、再発/難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は予後不良である。以上の背景より、抗CD20/CD3特異性抗体であるGlofitamab(RO7082859)の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験のフォローアップ期間中央値12.6ヶ月時点における結果、主要評価項目である独立審査委員会(IRC)評価による完全寛解率(CR)は39%(95%信頼区間:32-48%)を示した。なお、前治療としてキメラ抗原受容体T細胞療法(CAR-T療法)を受けた患者(N=52人)においても完全奏効率(CR)は35%と一貫した効果が確認されている。完全寛解率(CR)達成までの期間は治療開始日より42日間(95%信頼区間:42-44日)、12ヶ月無増悪生存率(PFS)は37%(95%信頼区間:28-46%)を示した。
一方の安全性として、Glofitamab(RO7082859)を原因とした治療中止率は9%、最も多くの患者で確認された有害事象(AE)はサイトカイン放出症候群(CRS)発症率が63%、グレード3以上の有害事象(AE)発症率は62%、グレード3以上のサイトカイン放出症候群(CRS)発症率は4%、グレード3以上の神経障害発症率は3%であった。
以上の第2相試験の結果よりMichael J. Dickinson氏らは「再発/難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者に対する抗CD20/CD3特異性抗体であるGlofitamab(RO7082859)単剤療法は良好な抗腫瘍効果を示しました。一方、グレード3以上の有害事象(AE)は半数以上の患者さんで確認されました」と結論を述べている。
Glofitamab for Relapsed or Refractory Diffuse Large B-Cell Lymphoma(N Engl J Med. 2022 Dec 11. doi: 10.1056/NEJMoa2206913.)