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前治療歴のあるHER2陽性の転移性乳がんに対する抗HER2抗体薬物複合体エンハーツ、死亡リスクを36%減少

[公開日] 2022.12.16[最終更新日] 2022.12.16

この記事の3つのポイント ・前治療歴のあるHER2陽性の転移性乳がん患者が対象の第3相試験 ・エンハーツ単剤療法の有効性・安全性をT-DM1と比較検証 ・全生存期間はエンハーツ群、T-DM1群どちらも未到達であり、エンハーツ群はT-DM1群に対して死亡リスクを36%減少した

2022年12月7日、英アストラゼネカ社プレスリリースにて前治療歴のあるHER2陽性の転移性乳がん患者に対する抗HER2抗体薬物複合体エンハーツ(一般名:トラスツズマブ デルクステカン、開発コード:DS-8201、以下エンハーツ)、抗HER2抗体チューブリン重合阻害薬複合体であるT-DM1(一般名:トラスツズマブ エムタンシン、以下T-DM1)の有効性、安全性を比較検証した第3相のDESTINY-Breast03試験(NCT03529110)の中間解析の結果が公表された。

DESTINY-Breast03試験は、前治療歴のあるHER2陽性の転移性乳がん患者(N=524人)に対してエンハーツ療法を投与する群(N=261人)、もしくはT-DM1療法を投与する群(N=263人)に無作為に振り分け、主要評価項目として盲検下独立中央評価(BICR)による無増悪生存期間(PFS)、重要な副次評価項目として主治医評価による無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、客観的奏効率(ORR)などを比較検証した国際多施設共同の第3相試験である。

本試験のフォローアップ期間中央値がエンハーツ群で28.4ヶ月、T-DM1群で26.5ヶ月時点における中間解析の結果、重要な副次評価項目である全生存期間(OS)中央値はエンハーツ群の未到達(95%信頼区間:40.5ヶ月-未到達)に対してT-DM1群で未到達(95%信頼区間:34.0ヶ月-未到達)であり、エンハーツ群で死亡(OS)のリスクを36%減少(HR:0.64、95%信頼区間:0.47-0.87、P=0.0037)を示した。また、2年全生存率(OS)はエンハーツ群の77.4%に対してT-DM1群で69.9%を示した。

エンハーツ群における全生存期間(OS)の臨床ベネフィットはサブグループ解析の結果でも同様の結果が確認されており、その結果は脳転移歴の有無、リンパ節転移の有無、ホルモン受容体陽性/陰性、ペルツズマブ、化学療法の前治療歴の有無に関係なく確認されている。

以上のDESTINY-Breast03試験の結果より、Sara Hurvitz氏は以下のような「前治療歴のあるHER2陽性の再発転移性乳がん患者に対する抗HER2抗体薬物複合体エンハーツは、T-DM1に比べて全生存期間(OS)において臨床的意義ある改善効果を示しました」と結論を述べている。

Enhertu achieved statistically significant overall survival, reducing the risk of death by 36% vs. trastuzumab emtansine (T-DM1) in patients with HER2-positive metastatic breast cancer in DESTINY-Breast03(AstraZeneca PressReleases)
ニュース 乳がん 抗体薬物複合体

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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