FGFR2融合遺伝子陽性胆道がんなどの病態解明を目指すアジア大規模研究CHOICE studyを始動ー国立がん研究センターらー


  • [公開日]2022.12.19
  • [最終更新日]2022.12.19

2022年12月8日、国立がん研究センターは、FGFR2融合遺伝子陽性胆道がんの病態解明を目指して、遺伝子プロファイリング検査を用いた遺伝子異常の調査とFISH法によるFGFR2融合遺伝子の発現を調べるアジア多施設共同前向き研究「CHOICE study」を開始を開始すると発表した。

治療が困難な胆道がんは、予後が不良ながん種に分類されるが、近年ではFGFR2融合遺伝子など新しい標的分子が発見されつつあり、治療の改善の糸口が見えてきている。一方、アジア太平洋に多いがん種であるが、同地域でのデータが不十分であり、どのような遺伝的背景をもった胆道がん患者が多いのかは、未だ不明な点が多いため、さらなる研究が必要とさている。

アジア多施設共同前向き研究であるCHOICE studyは、肝内胆管がんおよび肝門部領域の胆管がん患者計150名を対象に、がん遺伝子パネル検査(TOP2パネル)を用いてがん組織のDNAとRNAの網羅的な解析を行う。また、FISH法によりがん組織からFGFR2融合遺伝子を検出し、TOP2パネルとの一致度を検証するという。さらに、アジアでの胆道がんの発症に関連していると考えられている寄生虫の罹患歴についても検討を行う予定としている。


(画像はリリースより)

なお、CHOICE studyは、国立がん研究センター中央病院がアジア地域で実施している希少がんの研究開発およびゲノム医療を推進することを目指した国際共同前向きレジストリ研究である「Marker Assisted Selective ThErapy in Rare cancers: Knowledge database Establishing registry, Asia(MASTER KEY Asia)」の一環として行われる。

FGFR2融合遺伝子とは
FGFRは細胞膜に存在するタンパクであり、線維芽細胞増殖因子と呼ばれる。融合、変異、増幅といった遺伝子異常を生じ、それにより機能が活性化されると、がん細胞の増殖、生存、遊走血管新生、薬剤耐性が生じると考えられている。

TOP2パネルとは
TOP2パネルは、700以上の遺伝子異常を検出できる新規のがん遺伝子パネル検査。

FISH法とは
FISH法は、標的遺伝子と結合する相補的な塩基配列を持つ合成遺伝子に蛍光物質を付け、蛍光顕微下で可視化する検査方法。

MASTER KEY Asiaとは
MASTER KEY Asiaは、2017年から日本国内で実施している希少がんの研究開発およびゲノム医療を推進する産学共同プロジェクト「MASTER KEY Projectをアジア地域へ拡大した国際共同研究。マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナムと連携した国際共同前向きレジストリ研究として、患者数が少なく治療開発が困難とされる希少がんを対象に研究が行われる。

参照元:
国立がん研究センター プレスリリース

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