再発/転移性頭頸部扁平上皮がんに対するファーストライン治療としてのオプジーボ+ヤーボイ併用療法、全生存期間の改善を示せずJournal of Clinical Oncology


  • [公開日]2022.12.14
  • [最終更新日]2022.12.14
この記事の3つのポイント
再発/転移性頭頸部扁平上皮がん患者が対象の第3相試験
ファーストライン治療としてのオプジーボヤーボイ併用療法の有効性安全性をEXTREMEレジメンと比較検証
・全患者群における全生存期間中央値はオプジーボ+ヤーボイ併用群の13.9ヶ月に対してEXTREMEレジメン群で13.5ヶ月であり、有意差を認めず

2022年12月6日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて再発/転移性頭頸部扁平上皮がん患者に対するファーストライン治療としての抗PD-1抗体薬であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ、以下オプジーボ)+抗CTLA-4抗体薬であるヤーボイ(一般名:イピリムマブ、以下ヤーボイ)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のCheckMate 651試験(NCT02741570)の結果がDana-Farber Cancer InstituteのRobert I. Haddad氏らにより公表された。

CheckMate 651試験は、再発/転移性頭頸部扁平上皮がん患者(N=947人)に対するファーストライン治療としてのオプジーボ+ヤーボイ併用療法を実施する群、もしくはセツキシマブシスプラチン/カルボプラチン+フルオロウラシル併用療法(EXTREMEレジメン)を6サイクル実施し、その後維持療法としてセツキシマブ療法を実施する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目としてPD-L1陽性(CPS≧20)群の全生存期間(OS)、副次評価項目としてPD-L1陽性(CPS≧1)群の全生存期間(OS)、全患者群ならびにPD-L1陽性(CPS≧20)群の客観的奏効率ORR)、奏効持続期間(DOR)を比較検証した第3相試験である。

本試験の結果、全患者群における全生存期間(OS)中央値は、オプジーボ+ヤーボイ併用群の13.9ヶ月に対してEXTREMEレジメン群で13.5ヶ月であり、両群間で統計学有意な差は確認されなかった(HR:0.95、97.9%信頼区間:0.80-1.13、P=0.4951)。また、PD-L1陽性(CPS≧20)群における全生存期間(OS)中央値は、オプジーボ+ヤーボイ併用群の17.6ヶ月に対してEXTREMEレジメン群で14.6ヶ月を示し、両群間で統計学有意な差は確認されなかった(HR:0.78、97.51%信頼区間:0.59-1.03、P=0.0469)。

副次評価項目であるPD-L1陽性(CPS≧1)群における全生存期間(OS)中央値は、オプジーボ+ヤーボイ併用群の15.7ヶ月に対してEXTREMEレジメン群で13.2ヶ月を示した(HR:0.82、95%信頼区間:0.69-0.97)。PD-L1陽性(CPS≧20)群における無増悪生存期間PFS)中央値は、オプジーボ+ヤーボイ併用群の5.4ヶ月に対してEXTREMEレジメン群で7.0ヶ月、客観的奏効率(ORR)はオプジーボ+ヤーボイ併用群の34.1%に対してEXTREMEレジメン群で36.0%、奏効持続期間(DOR)中央値はオプジーボ+ヤーボイ併用群の32.6ヶ月に対してEXTREMEレジメン群で7.0ヶ月を示した。

一方の安全性として、グレード3もしくは4の治療関連有害事象(TRAE)発症率はオプジーボ+ヤーボイ併用群の28.2%に対してEXTREMEレジメン群で70.7%であった。

以上のCheckMate 651試験の結果よりRobert I. Haddad氏らは「再発/転移性頭頸部扁平上皮がん患者に対するファーストライン治療としての抗PD-1抗体薬オプジーボ+抗CTLA-4抗体薬ヤーボイ併用療法は、EXTREMEレジメンに比べて全患者群、PD-L1陽性(CPS≥20)群のいずれにおいても全生存期間(OS)を統計学有意に改善しませんでした。一方、安全性に関してはEXTREMEレジメンに比べて抗PD-1抗体薬オプジーボ+抗CTLA-4抗体薬ヤーボイ併用療法で良好な安全性プロファイルを示しました」と結論を述べている。

Nivolumab Plus Ipilimumab Versus EXTREME Regimen as First-Line Treatment for Recurrent/Metastatic Squamous Cell Carcinoma of the Head and Neck: The Final Results of CheckMate 651(J Clin Oncol. 2022 Dec 6;JCO2200332. doi: 10.1200/JCO.22.00332.)

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