緩和ケア治療中の進行性がん患者に対する症状緩和目的としてのカンナビジオール(CBD)療法、臨床的意義は示せずJournal of Clinical Oncologyより


  • [公開日]2022.11.29
  • [最終更新日]2022.11.28
この記事の3つのポイント
緩和ケア治療中の進行性がん患者が対象の第2b相試験
・カンナビジオール(CBD)療法の有効性安全性プラセボと比較検証
ESASによる判定、治療に対する反応率は両群間で同等であり、臨床的意義は示せず

11月21日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて緩和ケア治療中の進行性がん患者に対する症状緩和目的としてのカンナビジオール(CBD)療法の有用性を検証した第2b相試験の結果がMater Health ServicesのJanet Hardy氏らにより公表された。

本試験は、エドモントン症状評価システム (ESAS)により病徴として判定(≧10/90)された緩和ケア治療中の進行性がん患者(N=144人)に対して1日1回カンナビジオール(CBD)100mg/mLを投与する群(N=58人)、もしくはプラセボを投与する群(N=63人)に無作為に振り分け、いずれも28日間継続し、主要評価項目としてESAS total symptom distress score(TSDS)、副次評価項目としてQOL、安全性などを比較検証した試験である。

本試験の結果、主要評価項目であるベースライン時点からの14日後のESAS total symptom distress score(TSDS)の変化はカンナビジオール(CBD)群の-3.0に対してプラセボ群で-6.2と、両群間で統計学有意な差は確認されなかった(P=0.24)。また、治療に反応を示した患者は、カンナビジオール(CBD)群の44.8%(N=26/58人)に対してプラセボ群で58.7%(N=37/63人)であり、両群間で統計学的有意な差は確認されなかった(P=0.13)。

一方の安全性として、カンナビジオール(CBD)に特有の有害事象(AE)である呼吸困難を除いて、両群間で治療関連有害事象(TRAE)発症率に大きな差は確認されなかった。

以上の臨床試験の結果より、Janet Hardy氏らは「緩和ケア治療中の進行性がん患者に対する症状緩和目的としてのカンナビジオール(CBD)療法はプラセボ療法に比べて臨床的意義のある効果が確認されませんでした」と結論を述べている。

Phase IIb Randomized, Placebo-Controlled, Dose-Escalating, Double-Blind Study of Cannabidiol Oil for the Relief of Symptoms in Advanced Cancer (MedCan1-CBD)(J Clin Oncol. 2022 Nov 21;JCO2201632. doi: 10.1200/JCO.22.01632.)

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