進行性固形がんに対するアベルマブ+タラゾパリブ併用療法、有用な客観的奏効率と奏効持続期間を示すJAMA Oncologyより


  • [公開日]2022.11.28
  • [最終更新日]2022.11.24
この記事の3つのポイント
・進行性固形がん患者が対象の第1b/2相試験
アベルマブ+タラゾパリブ併用療法有効性安全性を比較検証
・それぞれの単剤療法と同等の客観的奏効率を示し、乳がんと卵巣がんでは奏効持続期間(DOR)を延長した

11月17日、医学誌『JAMA Oncology』にて進行性固形がん患者に対する抗PD-L1抗体薬であるアベルマブ+PARP阻害薬であるタラゾパリブ併用療法の有効性、安全性を検証した第1b/2相試験(NCT03330405)の結果がThe University of Texas MD Anderson Cancer CenterのTimothy A. Yap氏らにより公表された。

本試験は、非小細胞肺がん、トリプルネガティブ乳がん、卵巣がん、尿路上皮がん、去勢抵抗性前立腺がん等の進行性固形がん患者を対象にアベルマブ+タラゾパリブ併用療法を実施し、主要評価項目として第1b相試験では用量制限毒性DLT)、第2相試験では客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として安全性、初回奏効期間、奏効持続期間(DOR)、無増悪生存期間PFS)などを検証した第1b/2相試験である。

本試験に登録された223人の患者の年齢中央値は63.2歳、性別は男性が52.5%(N=117人)。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。

第1b相試験に登録された12人の結果、第2相試験推奨用量は2週を1サイクルとしてアベルマブ800mg+1日1回タラゾパリブ1mgと決定された。第2相試験に登録された211人の結果、客観的奏効率(ORR)はトリプルネガティブ乳がん群で18.2%(95%信頼区間:5.2-40.3%)、ホルモン受容体陽性HER2陰性乳がん群で34.8%(95%信頼区間:16.4-57.3%)、BRCA1/2遺伝子変異陽性卵巣がん群で63.6%(95%信頼区間:30.8-89.1%)を示した。

奏効持続期間(DOR)中央値はトリプルネガティブ乳がん群で11.1ヶ月(3.4-20.4ヶ月)、ホルモン受容体陽性HER2陰性乳がん群で15.7ヶ月(3.9-20.6ヶ月)、BRCA1/2遺伝子変異陽性卵巣がん群で未到達(5.6-18.4ヶ月)であった。

最も多くの患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は貧血が33.6%(N=75人)、血小板減少症が21.5%(N=48人)、好中球減少症が13.9%(N=31人)であった。

以上の第1b/2相試験の結果よりTimothy A. Yap氏らは「進行性固形がん患者に対する抗PD-L1抗体薬アベルマブ+PARP阻害薬タラゾパリブ併用療法は、それぞれの単独療法に比べと同等の客観的奏効率(ORR)を示しました。また、トリプルネガティブ乳がん、ホルモン受容体陽性HER2陰性乳がん、BRCA1/2遺伝子変異陽性卵巣がんでは奏効持続期間(DOR)を延長し、さらなる検討の必要がありました。今回のデータは今後の抗PD-L1抗体薬アベルマブ+PARP阻害薬タラゾパリブ併用療法に関する臨床試験において、前向きな患者選択の重要性を浮き彫りにしています」と結論を述べている。

Avelumab Plus Talazoparib in Patients With Advanced Solid Tumors: The JAVELIN PARP Medley Nonrandomized Controlled Trial(JAMA Oncol. 2022 Nov 17. doi: 10.1001/jamaoncol.2022.5228.)

×

この記事に利益相反はありません。

会員登録 ログイン