BRCA1/2遺伝子変異陽性もしくはATM遺伝子変異陽性進行性固形がんに対するアベルマブ+タラゾパリブ併用療法、客観的奏効率の基準に達せずJAMA Oncologyより


  • [公開日]2022.11.25
  • [最終更新日]2022.11.24
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BRCA1/2遺伝子変異陽性もしくはATM遺伝子変異陽性進行性固形がん患者が対象の第2b相試験
アベルマブ+タラゾパリブ併用療法有効性安全性を検証
・客観的奏効率は26.4%であり、主要評価項目達成基準に到達せず

11月17日、医学誌『JAMA Oncology』にてBRCA1/2遺伝子変異陽性もしくはATM遺伝子変異陽性進行性固形がん患者に対する抗PD-L1抗体薬であるアベルマブ+PARP阻害薬であるタラゾパリブ併用療法の有効性、安全性を検証した第2b相試験(NCT03565991)の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのAlison M. Schram氏らにより公表された。

本試験は、BRCA1/2遺伝子もしくはATM遺伝子変異陽性進行性固形がん患者(N=200人)を対象に、2週を1サイクルとしてアベルマブ800mg+1日1回タラゾパリブ1mg併用療法を実施し、主要評価項目として盲検下独立中央判定(BICR)による客観的奏効率(ORR:主要評価項目達成基準として40%を設定)を検証した第2b相試験である。

本試験に登録された200人の患者の年齢中央値は59.0歳(26.0~89.0歳)。性別は女性が66.0%(N=132人)。人種はアジア人が7.5%(N=15人)、アフリカ系アメリカ人が5.5%(N=11人)、白人が77.0%(N=154人)。遺伝子変異の種類はBRCA1/2遺伝子変異陽性が79.5%(N=159人)、ATM遺伝子変異陽性が20.5%(N=41人)。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。

本試験の結果、主要評価項目である客観的奏効率(ORR)はBRCA1/2遺伝子変異陽性群で26.4%(N=42人)、ATM遺伝子変異陽性群で4.9%(N=2人)を示した。また、完全奏効率(CR)はBRCA1/2遺伝子変異陽性群で5.7%(N=9人)であった。

また、BRCA1/2遺伝子変異陽性群のうち、BRCA1/2遺伝子変異に関連したがん種(卵巣がん、乳がん、前立腺がん、膵臓がん)および子宮平滑筋肉腫における客観的奏効率(ORR)は、30.3%(95%信頼区間:22.2-39.3%、完全奏効率6.7%)と、BRCA1/2遺伝子変異に関連しないがん種に比べて高率であり、奏効持続期間(DOR)は10.9ヶ月(95%信頼区間:6.2ヶ月-未到達)と持続的であった。

以上の第2b相試験の結果よりAlison M. Schram氏らは「BRCA1/2遺伝子変異陽性もしくはATM遺伝子変異陽性進行性固形がん患者に対する抗PD-L1抗体薬アベルマブ+PARP阻害薬タラゾパリブ併用療法は、BRCA1/2遺伝子変異コーホート、ATM遺伝子変異コーホートのいずれのコーホートでも客観的奏効率(ORR)が主要評価項目基準を達成しませんでした」と結論を述べている。

Avelumab Plus Talazoparib in Patients With BRCA1/2- or ATM-Altered Advanced Solid Tumors: Results From JAVELIN BRCA/ATM, an Open-Label, Multicenter, Phase 2b, Tumor-Agnostic Trial(JAMA Oncol. 2022 Nov 17. doi: 10.1001/jamaoncol.2022.5218.)

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