11月17日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて再発/難治性慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対する次世代ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬であるZanubrutinib(ザヌブルチニブ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相試験(NCT03734016)の中間解析の結果がSt James's University HospitalのPeter Hillmen氏らにより公表された。
本試験は、再発/難治性慢性リンパ性白血病(CLL)患者(N=415人)を対象に、ザヌブルチニブ単剤療法を実施する群(N=207人)、もしくはイブルチニブ単剤療法を実施する群(N=208人)に無作為に振り分け、主要評価項目として主治医評価の客観的奏効率(ORR)を検証した国際多施設共同ランダム化オープンラベルの第3相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値15ヶ月時点における結果、主要評価項目である主治医評価の客観的奏効率(ORR)は、ザヌブルチニブ単剤群の78.3%(95%信頼区間:72.0-83.7%)に対してイブルチニブ単剤群で62.5%(95%信頼区間:55.5-69.1%)を示し、ザヌブルチニブ単剤群で統計学的有意に高率であった(P<0.001)。
遺伝子変異別の客観的奏効率(ORR)は、del(17p)/TP53群のザヌブルチニブ単剤群の80.5%に対してイブルチニブ単剤群で50.0%、del(11q)群のザヌブルチニブ単剤群の83.6%に対してイブルチニブ単剤群で69.1%を示した。12ヶ月無増悪生存率(PFS)は、ザヌブルチニブ単剤群の94.9%に対してイブルチニブ単剤群で84.0%と、ザヌブルチニブ単剤群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを60%(HR:0.40、95%信頼区間:0.23-0.69)減少した。
心房細動の発症率は、ザヌブルチニブ単剤群の2.5%に対してイブルチニブ単剤群で10.1%(P=0.001)であった。心疾患、出血、治療中止・死亡に至る有害事象(AE)発生率はイブルチニブ単剤群比べてザヌブルチニブ単剤群で低率であった。
以上の第3相試験の結果よりPeter Hillmen氏らは「再発/難治性慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対する次世代ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬ザヌブルチニブ単剤療法は、イブルチニブ単剤群に比べて主要評価項目である客観的奏効率(ORR)が統計学有意に高率でした。また、心房細動の発症率は低率であり、無増悪生存期間(PFS)なども改善しました」と結論を述べている。
Zanubrutinib Versus Ibrutinib in Relapsed/Refractory Chronic Lymphocytic Leukemia and Small Lymphocytic Lymphoma: Interim Analysis of a Randomized Phase III Trial(J Clin Oncol. 2022 Nov 17;JCO2200510. doi: 10.1200/JCO.22.00510.)