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進行性卵巣がんに対するフロントライン治療としてのパクリタキセル+カルボプラチン+ベバシズマブ30ヶ月間投与、無増悪生存期間を統計学有意に改善せず

[公開日] 2022.11.15[最終更新日] 2022.11.15

この記事の3つのポイント ・進行性卵巣がん患者が対象の第3相試験 ・フロントライン治療としてのパクリタキセル+カルボプラチン+ベバシズマブ30ヶ月間投与の有効性・安全性をベバシズマブ15ヶ月間投与と比較検証 ・無増悪生存期間はベバシズマブ15ヶ月投与群24.2ヶ月、ベバシズマブ30ヶ月投与群26.0ヶ月であり統計学的有意な差は認められなかった

11月4日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて進行性卵巣がん患者に対するフロントライン治療としてのパクリタキセル+カルボプラチン+ベバシズマブ併用療法の投与期間の有効性、安全性を比較検証した第3相AGO-OVER 17 BOOST/GINECO OV118/ENGOT Ov-15試験(NCT01462890)の結果がArbeitsgemeinschaft Gynaekologische Onkologie (AGO) Study Group and Gynecologic Oncology CenterのJacobus Pfisterer氏らにより公表された。

本試験は、IIB~IV期の進行性卵巣がん患者(N=927人)に対して、手術後に3週を1サイクルとしてパクリタキセル175mg/m2 +カルボプラチンAUC5併用療法を6サイクル実施し、3週を1サイクルとしてベバシズマブ15mg/kgを15ヶ月間投与する群、もしくは3週を1サイクルとしてパクリタキセル175mg/m2 +カルボプラチンAUC5併用療法を6サイクル実施し、3週を1サイクルとしてベバシズマブ15mg/kgを30ヶ月間投与する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として主治医評価の無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)、安全性、忍容性を比較検証した多施設共同オープンラベルランダム化の第3相試験である。

本試験の結果、主要評価項目である主治医評価の無増悪生存期間(PFS)中央値はベバシズマブ15ヶ月投与群の24.2ヶ月に対してベバシズマブ30ヶ月投与群で26.0ヶ月であり、ベバシズマブ15ヶ月投与群とベバシズマブ30ヶ月投与群で無増悪生存期間(PFS)に統計学的有意な差は確認されなかった(HR:0.99、95%信頼区間:0.85-1.15、P=0.90)。

副次評価項目である全生存期間(OS)も両群で統計学的有意な差は確認されなかった(HR:1.04、95%信頼区間:0.87-1.23、P=0.68)。

一方、安全性として、有害事象の出現率は、ベバシズマブ15ヶ月投与群で29%、ベバシズマブ30ヶ月投与群で34%であり、標準的なベバシズマブの既知の安全性プロファイルと一致していた。

以上の第3相試験の結果よりJacobus Pfisterer氏らは「進行性卵巣がん患者に対するファーストライン治療としてのパクリタキセル+カルボプラチン+併用療法に対するベバシズマブ30ヶ月間投与は、標準治療であるベバシズマブ15ヶ月投与に比べて無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を統計学有意に改善しませんでした」と結論を述べている。

Optimal Treatment Duration of Bevacizumab as Front-Line Therapy for Advanced Ovarian Cancer: AGO-OVAR 17 BOOST/GINECO OV118/ENGOT Ov-15 Open-Label Randomized Phase III Trial(J Clin Oncol. 2022 Nov 4;JCO2201010. doi: 10.1200/JCO.22.01010.)
ニュース 卵巣がん NCT01462890

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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