10月18日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて転移性去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)患者に対するPARP阻害薬であるリムパーザ(一般名:オラパリブ、以下リムパーザ)+血管新生阻害薬であるセジラニブ(cediranib)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第2相試験(NCT02893917)の結果がMedical Oncology Yale School of Medicine and Yale Cancer CenterのJoseph W. Kim氏らにより公表された。
本試験は、転移性去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)患者(N=90人)に対して1日2回リムパーザ200mg+1日1回セジラニブ30mg併用療法を実施する群、もしくは1日2回リムパーザ300mg単剤療法を実施する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目としてintention-to-treat(ITT)集団における画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)、副次評価項目として相同組換え修復異常(HRD欠損/HRR陽性)群における画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)を比較検証した第2相試験である。
本試験の結果、主要評価項目であるITT集団における画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)中央値はリムパーザ+セジラニブ併用群の8.5ヶ月(95%信頼区間:5.4-12.0ヶ月)に対してリムパーザ単剤群で4.0ヶ月(95%信頼区間:3.2-8.5ヶ月)を示し、リムパーザ+セジラニブ併用群で画像診断に基づく病勢進行または死亡(rPFS)のリスクを統計学有意に38.3%改善した(HR:0.617、95%信頼区間:0.392-0.969、P=0.0359)。
相同組換え修復異常(HRD欠損)群における画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)中央値はリムパーザ+セジラニブ併用群の10.6ヶ月(95%信頼区間:5.9ヶ月-未到達)に対してリムパーザ単剤群で3.8ヶ月(95%信頼区間:2.33ヶ月-未到達)を示し、リムパーザ+セジラニブ併用群で画像診断に基づく病勢進行または死亡(rPFS)のリスクを36%改善した(HR:0.64、95%信頼区間:0.272-1.504)。
BRCA2遺伝子変異群における画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)中央値はリムパーザ+セジラニブ併用群の13.8ヶ月(95%信頼区間:3.3ヶ月-未到達)に対してリムパーザ単剤群で11.3ヶ月(95%信頼区間:3.8ヶ月-未到達)を示し、リムパーザ+セジラニブ併用群で画像診断に基づく病勢進行または死亡(rPFS)のリスクを2%改善した(HR:0.98、95%信頼区間:0.321-2.988)。
一方の安全性として、グレード3~4の有害事象(AE)発症率はリムパーザ+セジラニブ併用群の61%に対してリムパーザ単剤群で18%であった。
以上の第2相試験の結果よりJoseph W. Kim氏らは「転移性去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)患者に対するPARP阻害薬リムパーザ+血管新生阻害薬であるセジラニブ(cediranib)併用療法は、リムパーザ単剤療法に比べて画像診断に基づく病勢進行または死亡(rPFS)を統計学有意に改善しました。また、グレード3~4の有害事象(AE)発症率の増加とリムパーザ+セジラニブ併用療法は関連していました」と結論を述べている。
Randomized Trial of Olaparib With or Without Cediranib for Metastatic Castration-Resistant Prostate Cancer: The Results From National Cancer Institute 9984(J Clin Oncol. 2022 Oct 18;JCO2102947. doi: 10.1200/JCO.21.02947.)