10月17日、医学誌『The Lancet Oncology』にてステージIIB/IIC完全切除後の高リスク悪性黒色腫患者に対する術後補助療法としての抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ(一般名;ペムブロリズマブ、以下キイトルーダ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第III相のKEYNOTE-716試験(NCT03553836)の結果がThe University of SydneyのGeorgina V Long氏らにより公表された。
KEYNOTE-716試験は、ステージIIB/IIC完全切除後の高リスク悪性黒色腫患者(N=976人)に対する術後補助療法として3週ごとにキイトルーダ200mg(小児には2mg/kg~200mg)単剤療法を最大17サイクル実施する群(N=487人)、もしくはプラセボを投与する群(N=489人)に無作為に振り分け、主要評価項目として無再発生存期間(RFS)、副次評価項目として無遠隔転移生存期間(DMFS)、全生存期間(OS)、安全性、QOLなどを比較検証した第3相試験である。
なお、キイトルーダ単剤療法もしくはプラセボ単剤療法の17サイクル投与期間(PART1)終了後に再発した患者は、追加で3週ごとにキイトルーダ200mg(小児は2mg/kg~200mg)単剤療法を最大35サイクル投与した。
本試験の中間解析の結果では、ステージIIB/IIC悪性黒色腫患者に対する術後補助療法としてのキイトルーダ単剤療法はプラセボに対して無再発生存期間(RFS)を統計学有意に改善することが示されている。以上の背景より、副次評価項目である無遠隔転移生存期間(DMFS)をはじめとした長期フォローアップ解析の結果が公表された。
本試験のフォローアップ期間中央値27.4ヶ月時点において、無遠隔転移生存期間(DMFS)中央値は両群ともに未到達であり、プラセボ単剤群に比べてキイトルーダ単剤群で遠隔転移もしくは死亡(DMFS)のリスクを36%減少(HR:0.64、95%信頼区間:0.47-0.88、P=0.0029)を示した。
無再発生存期間(RFS)中央値は、キイトルーダ単剤群の37.2ヶ月(95%信頼区間:未到達)に対してプラセボ単剤群で未到達であり、プラセボ単剤群に比べてキイトルーダ単剤群で再発リスクを36%減少(HR:0.64、95%信頼区間:0.50-0.84)した。
確認されたグレード3以上の有害事象(AE)は、高血圧がキイトルーダ単剤群の3%(N=16人)に対してプラセボ単剤群で4%(N=17人)、下痢が2%(N=8人)に対して1%未満(N=1人)、皮膚障害が1%(N=7人)に対して1%未満(N=2人)、自己免疫性肝炎が1%(N=7人)に対して1%未満(N=2人)、リパーゼ増加が1%(N=6人)に対して2%(N=8人)を示した。重篤な治療関連有害事象(TRAE)発症率は、キイトルーダ単剤群の10%(N=49人)に対してプラセボ単剤群で2%(N=11人)であった。
以上のKEYNOTE-716試験の結果よりGeorgina V Long氏らは「ステージIIB/IIC完全切除後の高リスク悪性黒色腫患者に対する術後補助療法としての抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法は、プラセボ単剤療法に比べて無遠隔転移生存期間(DMFS)を統計学有意に改善しました。また安全性に関しては過去の研究と一貫したプロファイルであり、術後補助療法としてのキイトルーダ単剤療法の総合的なベネフィット・リスクが引き続き良好であることが確認されました」と結論を述べている。
Pembrolizumab versus placebo as adjuvant therapy in resected stage IIB or IIC melanoma (KEYNOTE-716): distant metastasis-free survival results of a multicentre, double-blind, randomised, phase 3 trial(Lancet Oncol. 2022 Oct 17;S1470-2045(22)00559-9. doi: 10.1016/S1470-2045(22)00559-9.)