イクスタンジ療法後に病勢進行した転移性去勢抵抗性前立腺がんに対するドセタキセル+プレドニゾロン+イクスタンジ継続投与、無増悪生存期間を改善The Lancet Oncologyより


  • [公開日]2022.10.21
  • [最終更新日]2022.10.20
この記事の3つのポイント
イクスタンジ療法後に病勢進行した転移性去勢抵抗性前立腺がん患者が対象の第3b相試験
ドセタキセル+プレドニゾロン+イクスタンジ継続投与の有効性安全性をドセタキセル+プレドニゾロン+プラセボと比較検証
無増悪生存期間はイクスタンジ継続投与群9.5ヶ月、プラセボ投与群8.3ヶ月であり統計学的有意に延長した

10月17日、医学誌『The Lancet Oncology』にてアンドロゲン受容体拮抗薬であるイクスタンジ(一般名:エンザルタミド、以下イクスタンジ)療法後に病勢進行した転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に対してドセタキセル+プレドニゾロン+イクスタンジ継続投与療法の有効性、安全性を比較検証した第3b相のPRESIDE試験(NCT02288247)の結果がUniversitätsklinikum Schleswig-HolsteinのAxel S Merseburger氏らにより公表された。

PRESIDE試験は2つのピリオドで行われ、第1ピリオドでは転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者(N=687人)に対してアンドロゲン受容体拮抗薬であるイクスタンジ160mg/日による治療が行われた。そのうち13週目にPSAの低下と病勢進行が見られた転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者(N=271人)に対して、第2ピリオドとして3週を1サイクルとしてドセタキセル75mg/m2+1日1回プレドニゾロン10mg+1日1回イクスタンジ160mg併用療法を実施する群(N=136人)、もしくは3週を1サイクルとしてドセタキセル75mg/m2+1日1回プレドニゾロン10mg+プラセボ併用療法を実施する群(N=135人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)を比較検証した多施設共同二重盲検下ランダム化プラセボ対照の第3相試験である。

本試験の結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はドセタキセル+プレドニゾロン+イクスタンジ継続投与群の9.5ヶ月(95%信頼区間:8.3-10.9ヶ月)に対してドセタキセル+プレドニゾロン+プラセボ投与群で8.3ヶ月(95%信頼区間:6.3-8.7ヶ月)と、ドセタキセル+プレドニゾロン+イクスタンジ継続投与群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを28%減少(HR:0.72、95%信頼区間:0.53-0.96、P=0.027)した。

最も多くの患者で確認されたグレード3の治療関連有害事象(TRAE)は、好中球減少症がドセタキセル+プレドニゾロン+イクスタンジ継続投与群の13%(N=17人)に対してドセタキセル+プレドニゾロン+プラセボ投与群で9%(N=12人)、無力症が7%に対して4%であった。グレード4の治療関連有害事象(TRAE)は、好中球減少症がドセタキセル+プレドニゾロン+イクスタンジ継続投与群の17%(N=23人)に対してドセタキセル+プレドニゾロン+プラセボ投与群で21%(N=28人)であった。

以上のPRESIDE試験の結果よりAxel S Merseburger氏らは「アンドロゲン受容体拮抗薬イクスタンジ療法後に病勢進行した転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に対するドセタキセル+プレドニゾロン+イクスタンジ継続投与療法は、ドセタキセル+プレドニゾロン+プラセボ併用療法に比べて無増悪生存期間(PFS)を統計学有意に改善し、進行までの時間を遅らせることを示しました」と結論を述べている。

Continuous enzalutamide after progression of metastatic castration-resistant prostate cancer treated with docetaxel (PRESIDE): an international, randomised, phase 3b study(Lancet Oncol. 2022 Oct 17;S1470-2045(22)00560-5. doi: 10.1016/S1470-2045(22)00560-5.)

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