再発性/転移性頭頸部扁平上皮がんに対するキイトルーダ±化学療法、全生存期間を延長Journal of Clinical Oncologyより


  • [公開日]2022.10.17
  • [最終更新日]2022.10.17

10月7日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて再発性/転移性頭頸部扁平上皮がん患者に対する抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ、以下キイトルーダ)±化学療法有効性安全性を比較検証した第3相のMK-3475-048/KEYNOTE-048試験(NCT02358031)の事後解析(Post hoc analysis)の結果がThe Institute of Cancer Research and The Royal Marsden NHS Foundation TrustのKevin J. Harrington氏らにより公表された。

MK-3475-048/KEYNOTE-048試験は、再発性/転移性頭頸部扁平上皮がん患者(N=882人)に対してキイトルーダ単剤療法を実施する群(N=301人)、キイトルーダ+化学療法を実施する群(N=281人)、セツキシマブ+化学療法を実施する群(N=300人)に1対1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目としてPD-L1発現率別(CPS≧20、CPS≧1、全体)の無増悪生存期間PFS)、全生存期間OS)、副次評価項目として客観的奏効率ORR)、安全性などを比較検証したオープンラベルランダム化の第3相試験である。

本試験のフォローアップ期間中央値45.0ヶ月時点における結果、主要評価項目であるPD-L1発現陽性(CPS≧20)群の全生存期間(OS)中央値はキイトルーダ単剤群の14.9ヶ月(95%信頼区間:11.5-20.6ヶ月)に対してセツキシマブ+化学療法群で10.8ヶ月(95%信頼区間:8.8-12.8ヶ月)と、キイトルーダ単剤群で死亡(OS)のリスクを39%減少(HR:0.61、95%信頼区間:0.46-0.81、P=0.00034)した。

PD-L1発現陽性(CPS≧1)群の全生存期間(OS)中央値は、キイトルーダ単剤群の12.3ヶ月(95%信頼区間:10.8-14.8ヶ月)に対してセツキシマブ+化学療法群で10.4ヶ月(95%信頼区間:9.0-11.7ヶ月)と、キイトルーダ単剤群で死亡(OS)のリスクを26%減少(HR:0.74、95%信頼区間:0.61-0.89、P=0.00080)した。

全患者群の全生存期間(OS)中央値は、キイトルーダ単剤群の11.5ヶ月(95%信頼区間:10.3-13.5ヶ月)に対してセツキシマブ+化学療法群で10.7ヶ月(95%信頼区間:9.3-12.1ヶ月)と、キイトルーダ単剤群で死亡(OS)のリスクを19%減少(HR:0.81、95%信頼区間:0.68-0.97、P=0.00994)した。

PD-L1発現陽性(CPS≧20)群の全生存期間(OS)中央値は、キイトルーダ+化学療法群の14.7ヶ月(95%信頼区間:10.3-19.3ヶ月)に対してセツキシマブ+化学療法群で11.1ヶ月(95%信頼区間:9.2-13.0ヶ月)と、キイトルーダ+化学療法群で死亡(OS)のリスクを38%減少(HR:0.62、95%信頼区間:0.46-0.84、P=0.00082)した。

PD-L1発現陽性(CPS≧1)群の全生存期間(OS)中央値は、キイトルーダ+化学療法群の13.6ヶ月(95%信頼区間:10.7-15.5ヶ月)に対してセツキシマブ+化学療法群で10.6ヶ月(95%信頼区間:9.1-11.7ヶ月)と、キイトルーダ+化学療法群で死亡(OS)のリスクを36%減少(HR:0.64、95%信頼区間:0.53-0.78、P=0.00001)した。

全患者群の全生存期間(OS)中央値は、キイトルーダ単剤群の13.0ヶ月(95%信頼区間:10.9-14.7ヶ月)に対してセツキシマブ+化学療法群で10.7ヶ月(95%信頼区間:9.3-11.7ヶ月)と、キイトルーダ+化学療法群で死亡(OS)のリスクを29%減少(HR:0.71、95%信頼区間:0.59-0.85、P=0.00008)した。

副次評価項目である客観的奏効率(ORR)は、PD-L1発現陽性(CPS≧20)群においてキイトルーダ単剤群の23.3%に対してセツキシマブ+化学療法群で36.1%、PD-L1発現陽性(CPS≧1)群においてキイトルーダ単剤群の19.1%に対してセツキシマブ+化学療法群で34.9%、全患者群においてキイトルーダ単剤群の16.9%に対してセツキシマブ+化学療法群で36.0%を示し、PD-L1発現率別(CPS≧20、CPS≧1、全体)で両群間に統計学的有意な差は確認されなかった。

キイトルーダ+化学療法群とセツキシマブ+化学療法群における客観的奏効率(ORR)は、PD-L1発現陽性(CPS≧20)群においてキイトルーダ+化学療法群の43.7%に対してセツキシマブ+化学療法群で38.2%、PD-L1発現陽性(CPS≧1)群においてキイトルーダ単剤群の37.2%に対してセツキシマブ+化学療法群で35.7%、全患者群においてキイトルーダ単剤群の36.3%に対してセツキシマブ+化学療法群で36.3%を示し、PD-L1発現率別(CPS≧20)群では、セツキシマブ+化学療法群に比べてキイトルーダ+化学療法群で統計学的有意に高率を示し、PD-L1発現陽性(CPS≧1)群、全患者群では両群間に統計学的有意な差は確認されなかった。

以上のMK-3475-048/KEYNOTE-048試験の事後解析の結果よりKevin J. Harrington氏らは「再発性/転移性頭頸部扁平上皮がん患者に対する抗PD-1抗体薬キイトルーダ±化学療法は、セツキシマブ+化学療法に比べて全生存期間(OS)を統計学的有意に改善しました」と結論を述べている。

Pembrolizumab With or Without Chemotherapy in Recurrent or Metastatic Head and Neck Squamous Cell Carcinoma: Updated Results of the Phase III KEYNOTE-048 Study(J Clin Oncol. 2022 Oct 11;JCO2102508. doi: 10.1200/JCO.21.02508.)

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