ホルモン感受性転移性前立腺がんに対するレズビルタミド+アンドロゲン遮断療法、無増悪生存期間と全生存期間を改善The Lancet Oncologyより


  • [公開日]2022.09.15
  • [最終更新日]2022.09.12
この記事の3つのポイント
・ホルモン感受性転移性前立腺がんに対する患者が対象の第3相試験
・Rezvilutamide(レズビルタミド)+アンドロゲン遮断療法の有効性安全性ビカルタミドと比較検証
無増悪生存期間全生存期間ともに未到達であり、ビカルタミド+アンドロゲン遮断療法(25.1ヶ月、未到達)に対して改善を示した

9月5日、医学誌『The Lancet Oncology』にてホルモン感受性転移性前立腺がんに対するRezvilutamide(レズビルタミド)+アンドロゲン遮断療法(ADT)の有効性、安全性を比較検証した第3相のCHART試験(NCT03520478)の結果がFudan University Shanghai Cancer CenterのWeijie Gu氏らにより公表された。

CHART試験は、ホルモン感受性転移性前立腺がん患者(N=654人)に対して、1日1回レズビルタミド240mg+アンドロゲン遮断療法(ADT)を実施する群(N=326人)、または1日1回ビカルタミド50mg+アンドロゲン遮断療法(ADT)を実施する群(N=328人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として画像診断による無増悪生存期間(PFS)、全患者群の全生存期間(OS)を比較検証した国際多施設共同ランダム化オープンラベルの第3相試験である。

本試験のフォローアップ期間中央値21.2ヶ月時点における主要評価項目である画像診断による無増悪生存期間(PFS)中央値は、レズビルタミド+アンドロゲン遮断療法(ADT)群の未到達(95%信頼区間:未到達)に対してビカルタミド+アンドロゲン遮断療法(ADT)群で25.1ヶ月(95%信頼区間:15.7ヶ月-未到達)を示し、レズビルタミド+アンドロゲン遮断療法(ADT)群で画像診断による病勢進行または死亡(rPFS)のリスクを56%減少(HR:0.44、95%信頼区間:0.33–0.58、P<0.0001)した。

フォローアップ期間中央値29.3ヶ月時点におけるもう1つの主要評価項目である全生存期間(OS)中央値は、レズビルタミド+アンドロゲン遮断療法(ADT)群の未到達(95%信頼区間:未到達)に対してビカルタミド+アンドロゲン遮断療法(ADT)群で未到達(95%信頼区間:36.2ヶ月-未到達)を示し、レズビルタミド+アンドロゲン遮断療法(ADT)群で死亡(OS)のリスクを42%減少(HR:0·58、95%信頼区間:0.44-0.77、P=0.0001)した。

一方安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3以上の有害事象(AE)は、高血圧がレズビルタミド+アンドロゲン遮断療法(ADT)群の8%(N=26/323人)に対してビカルタミド+アンドロゲン遮断療法(ADT)群で7%(N=24/324人)、高トリグリセリド血症が7%(N=24/323人)に対して2%(N=7/324人)、体重増加が6%(N=20/323人)に対して4%(N=12/324人)、貧血が4%(N=12/323人)に対して5%(N=16/324人)、低カリウム血症が3%(N=11/323人)に対して4%(N=1/324人)をそれぞれ示した。重篤な有害事象(SAE)発症率は、レズビルタミド+アンドロゲン遮断療法(ADT)群の28%に対してビカルタミド+アンドロゲン遮断療法(ADT)群で21%であり、レズビルタミド+アンドロゲン遮断療法(ADT)群で治療関連有害事象(TRAE)による死亡は確認されなかった。

以上のCHART試験の結果よりWeijie Gu氏らは「ホルモン感受性転移性前立腺がんに対するレズビルタミド+アンドロゲン遮断療法(ADT)は、ビカルタミド+アンドロゲン遮断療法(ADT)に比べて画像診断による無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を統計学有意に改善し、安全性プロファイルは許容範囲内でした」と結論を述べている。

Rezvilutamide versus bicalutamide in combination with androgen-deprivation therapy in patients with high-volume, metastatic, hormone-sensitive prostate cancer (CHART): a randomised, open-label, phase 3 trial(Lancet Oncol. 2022 Sep 5;S1470-2045(22) 00507-1. doi:10.1016/S1470-2045(22)00507-1.)

×

この記事に利益相反はありません。

会員登録 ログイン