9月1日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて未治療のBRAFV600遺伝子変異陽性の転移性悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対するBRAF阻害薬であるビラフトビ(一般名:エンコラフェニブ、以下ビラフトビ)+MEK阻害薬であるメクトビ(一般名:ビニメチニブ、以下メクトビ)併用療法、抗PD-1抗体薬であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ、以下オプジーボ)+抗CTLA-4抗体薬であるヤーボイ(一般名:イピリムマブ、以下ヤーボイ)併用療法の有効性、安全性を検証した第2相のSECOMBIT試験(NCT02631447)の結果がI.N.T. IRCCS Fondazione “G. Pascale” NapoliのPaolo A. Ascierto氏らにより公表された。
SECOMBIT試験は、未治療のBRAFV600遺伝子変異陽性の転移性悪性黒色腫(メラノーマ)患者を以下の3群に分け、主要評価項目として2年全生存率(OS)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、3年全生存率(OS)、客観的奏効率(ORR)、奏効持続期間(DOR)などを比較検証したオープンラベルの第2相試験である。
ArmA(N=69) 1日1回ビラフトビ450mg+1日2回メクトビ45mg併用療法を病勢進行まで実施、その後3週を1サイクルとしてヤーボイ3mg/kg+オプジーボ1mg/kg併用療法を4サイクル実施後、2週を1サイクルとしてオプジーボ3mg/kg単剤療法を実施 ArmB(N=71) 3週を1サイクルとしてヤーボイ3mg/kg+オプジーボ1mg/kg併用療法を4サイクル実施後、2週を1サイクルとしてオプジーボ3mg/kg単剤療法を病勢進行まで実施し、その後1日1回ビラフトビ450mg+1日2回メクトビ45mg併用療法を実施 ArmC(N=69) 1日1回ビラフトビ450mg+1日2回メクトビ45mg併用療法を8週間実施し、3週を1サイクルとしてヤーボイ3mg/kg+3オプジーボ1mg/kg併用療法を4サイクル実施後、2週を1サイクルとしてオプジーボ3mg/kg単剤療法を病勢進行まで実施し、その後1日1回ビラフトビ450mg+1日2回メクトビ45mg併用療法を実施本試験のフォローアップ期間中央値32.2ヶ月時点における結果、主要評価項目である2年全生存率(OS)はArmA群で65%(95%信頼区間:54-76%)、ArmB群で73%(95%信頼区間:62-84%)、ArmC群で69%(95%信頼区間:59-80%)を示した。また、副次評価項目である3年全生存率(OS)はArmA群で54%(95%信頼区間:41-67%)、ArmB群で62%(95%信頼区間:48-76%)、ArmC群で60%(95%信頼区間:58-72%)を示した。全生存期間(OS)中央値は全群で未到達であり、全群で主要評価項目を達成した。
一方、安全性として、新たな有害事象は認められなかった。
以上のSECOMBIT試験の結果よりPaolo A. Ascierto氏らは「未治療のBRAFV600遺伝子変異陽性の転移性悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対する免疫チェックポイント阻害薬、分子標的薬の併用療法は臨床的意義のある全生存期間(OS)の改善を示した」と結論を述べている。
Sequencing of Ipilimumab Plus Nivolumab and Encorafenib Plus Binimetinib for Untreated BRAF-Mutated Metastatic Melanoma (SECOMBIT): A Randomized, Three-Arm, Open-Label Phase II Trial(J Clin Oncol. 2022 Sep 1;JCO2102961. doi: 10.1200/JCO.21.02961.)