9月6日、シスメックス株式会社は、がんゲノムプロファイリング検査である「Onco Guide NCCオンコパネルシステム」について、9月2日にFGFR2融合遺伝子を含む遺伝子再構成を有する進行胆道がんに対するフチバチニブのコンパニオン診断として適応追加申請を行ったと発表した。
胆道がんは、治療法の選択肢が少なく、特に一次治療で増悪した局所進行または転移性の胆道がんに対する標準治療は十分に確立されていない。胆道がんの一種である切除不能な胆管がんの日本における患者のうち、FGFR2遺伝子再構成の陽性率は肝内胆管がんで7.4%、肝外胆管がんでは3.6%である。FGFRは細胞の成長や増殖に関わる線維芽細胞増殖因子受容体であり、治療標的の遺伝子として分子標的薬の開発が盛んに行われている。
フチバチニブはFGFR阻害剤であり、2022年7月に大鵬薬品が「前治療歴を有するFGFR2融合遺伝子を含む遺伝子再構成を伴う局所進行または転移性胆道がん」を適応症として承認申請を行っている。今回、コンパニオン診断薬として承認が得られると、Onco Guide NCCオンコパネルシステムでのフチバチニブの適応判定が可能となり、局所進行または転移性の胆道がん患者に対する新たな治療選択肢の提供が期待できる。
シスメックスは、プレスリリースにて「今後も患者さん一人ひとりに最適な治療の提案につながる、価値の高い検査・診断技術の早期実用化に取り組み、個別化医療の発展と進化に貢献していきます」と述べている。
胆道がんとは 胆道がんとは胆道に発生するがんの総称。胆管がん、胆のうがん、乳頭部がんに分類される。日本における新規罹患者数は約2.6万人/年である。
フチバチニブ(開発コード:TAS-120)とは FGFR1/2/3/4遺伝子異常を有する進行固形がんに対する経口抗がん剤。米国食品医薬品局(FDA)より2018年にオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)に指定され、2021年には全治療歴を有するFGFR2融合遺伝子を含む遺伝子再構成を伴う局所進行または転移性胆管がんに対するブレークスルーセラピー(画期的治療薬)の指定を受けている。
参照元:シスメックス株式会社 ニュースリリース