8月15日、ガーダントヘルスジャパン株式会社は、RAS野生型、BRAF V600E変異陽性、HER2遺伝子増幅を有する治癒切除不能な進行/再発の結腸・直腸がんに対するコンパニオン診断機器として、包括的がんゲノムプロファイリング(CGP)用リキッドバイオプシー(液体生検)検査である「Guardant360 CDxがん遺伝子パネル(以下Guardant360 CDx)」の適応追加申請を行ったと発表した。
Guardant360 CDxは、固形がん患者を対象に採血を行い、その検体を用いて治療方針決定を補助することを目的に開発された包括的なリキッドバイオプシー検査。がん細胞が血液中に放出する血中腫瘍DNA(ctDNA)を解析し、遺伝子変異を同定して治療薬と結び付ける。
RAS(KRAS/NRAS)遺伝子変異を有する切除不能結腸・直腸患者に対してはアービタックス(一般名:セツキシマブ)やベクティビックス(一般名:パニツムマブ)といった抗EGFR抗体薬の効果は期待できない。一方、BRAF V600E変異陽性の結腸・直腸がんに対してはBRAF阻害薬ビラフトビ(一般名:エンコラフェニブ)+MEK阻害薬メクトビ(ビメニチブ)+抗EGFR抗体薬アービタックス併用療法もしくはビラフトビ+アービタックス併用療法が既に薬事承認を取得している。
また、HER2陽性の治癒切除不能な進行/再発の結腸・直腸がんに対しては、パージェタ(一般名:ペルツズマブ)+ハーセプチン(一般名:トラスツズマブ)併用療法が薬事承認を取得している。この承認取得の契機となった国内第2相TRIUMPH試験の患者組み入れにおいて、Guardant360 CDxによるリキッドバイオプシー検査を用いたHER2遺伝子増幅陽性患者のスクリーニングを行っており、Guardant360 CDxのコンパニオン診断としての有用性も示された。
今回の申請が承認された場合、RAS野生型、BRAF V600E変異陽性、HER2遺伝子増幅を有する結腸・直腸患者が適切な分子標的薬治療を迅速に受けられる可能性が期待できる。
RAS遺伝子変異とは RAS(KRAS/NRAS)遺伝子変異は、結腸・直腸がんにおいて発がんの原因とされている遺伝子変異。EGFR下流のRAS/RAF/MAPK経路を活性化することでがんを発症すると言われている。RAS遺伝子変異は切除不能結腸・直腸がん患者の約50%で確認されている。
BRAF V600E遺伝子変異とは BRAF V600E遺伝子変異は、結腸・直腸がんの中でもまれな疾患であり、予後が極めて不良な病型の1つと言われている。BRAF遺伝子変異もまたEGFR下流のRAS/RAF/MAPK経路を活性化し発がんの原因となる。
HER2遺伝子増幅とは HER2遺伝子増幅は結腸・直腸がんのみならず、さまざまながん腫において発がんのドライバー遺伝子として特定されている。
参照元:ガーダントヘルスジャパン株式会社 プレスリリース