7月25日、日本セルヴィエ株式会社は、国立がん研究センターと共同で希少がんの研究開発およびゲノム医療を推進するプロジェクト「MASTER KEYプロジェクト」について、共同研究契約を締結したと発表した。
MASTER KEYプロジェクトは、国立がん研究センター中央病院により2017年から開始した産学共同のプロジェクト。希少がん患者全体の総数は全がん腫の9~22%を占める。しかし、個々の希少がんは患者数が少ないため、臨床試験を行うことが困難であり、また診療データも蓄積されていないため、正確な診断と治療ができる施設が少ない現状がある。そこで、希少がんに関する治療開発を目的として同プロジェクトが始動した。
同プロジェクトは大きく分けて2つのパートから成り立つ。1つ目はレジストリ研究パートであり、これまで集約された臨床情報のない希少がん患者における大規模データベースを蓄積することで、分子生物学的な評価指標(バイオマーカー)を含めた希少がんの特性を明らかにすることが目的である。
2つ目は臨床試験(副試験)のパートであり、レジストリ研究に登録された患者は個々のバイオマーカーの結果に応じた副試験に参加が可能となる。同プロジェクトでは、特定のバイオマーカーを持つ腫瘍に対して特異的に有効性が期待できる新規薬剤を投与する「バイオマーカーあり」の試験と、バイオマーカーに関わらず有効性が期待できる薬剤を投与する「バイオマーカーなし」の試験が行われており、いずれかに分類される副試験が、複数同時に実施される。
(参照:国立がん研究センター MASTER KEY Project)日本セルヴィエは、プレスリリースにて「MASTER KEY プロジェクトへの参画を通じて日本における希少がんのアンメット・メディカルニーズに応える医薬品の研究開発を進めてまいります」と述べている。
希少がんとは 希少がんとは、人口10万人あたり6例未満のまれながんの総称。患者数が少ないがゆえ、他に比べて診療・受療上の課題が大きいがん腫である。現在、200種類近い悪性腫瘍が希少がんに分類されている。 (参照:国立がん研究センター 希少がんセンター さまざまな希少がんの解説)
参照元:日本セルヴィエ株式会社 プレスリリース