7月21日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて未治療の進行性トリプルネガティブ乳がん患者に対する抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ、以下キイトルーダ)+主治医選択の化学療法併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のMK-3475-355/KEYNOTE-355試験(NCT02819518)の結果がInternational Breast Cancer Center (IBCC)のJavier Cortes氏らにより公表された。
MK-3475-355/KEYNOTE-355試験は、未治療の進行性トリプルネガティブ乳がん患者(N=847人)に対して3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mg+主治医選択の化学療法(ナブパクリタキセル、パクリタキセル、ゲムシタビン+カルボプラチン)併用療法を実施する群(N=566人)、もしくはプラセボ+主治医選択の化学療法(ナブパクリタキセル、パクリタキセル、ゲムシタビン+カルボプラチン)併用療法を実施する群(N=281人)に2対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目としてcombined positive score(CPS)が10以上のPD-L1陽性患者における無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を比較検証した第3相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値44.1ヶ月時点における結果、combined positive score(CPS)が10以上のPD-L1陽性患者における全生存期間(OS)中央値はキイトルーダ+主治医選択の化学療法併用群の23.0ヶ月に対してプラセボ+主治医選択の化学療法併用群で16.1ヶ月と、キイトルーダ+主治医選択の化学療法併用群で死亡(OS)のリスクを27%減少(HR:0.73、95%信頼区間:0.55-0.95、P=0.0185)した。
サブグループ解析の結果、combined positive score(CPS)が1以上のPD-L1陽性患者における全生存期間(OS)中央値はキイトルーダ+主治医選択の化学療法併用群の17.6ヶ月に対してプラセボ+主治医選択の化学療法併用群で16.0ヶ月と、キイトルーダ+主治医選択の化学療法併用群で死亡(OS)のリスクを14%減少(HR:0.86、95%信頼区間:0.72-1.04、P=0.1125)した。
全患者群(intention-to-treat population)における全生存期間(OS)は、キイトルーダ+主治医選択の化学療法併用群で死亡(OS)のリスクを11%減少(HR:0.89、95%信頼区間:0.76-1.05)した。
一方の安全性として、グレード3、4、5の治療関連有害事象(TRAE)発症率はキイトルーダ+主治医選択の化学療法併用群の68.1%に対してプラセボ+主治医選択の化学療法併用群で66.9%を示した。
以上のMK-3475-355/KEYNOTE-355試験の結果よりJavier Cortes氏らは「combined positive score(CPS)が10以上のPD-L1陽性の未治療進行性トリプルネガティブ乳がん患者に対する抗PD-1抗体薬キイトルーダ+主治医選択の化学療法併用療法は、プラセボ+主治医選択の化学療法併用療法に比べて全生存期間(OS)を統計学的有意に改善しました」と結論を述べている。
Pembrolizumab plus Chemotherapy in Advanced Triple-Negative Breast Cancer(N Engl J Med. 2022 Jul 21;387(3):217-226. doi: 10.1056/NEJMoa2202809.)