進行性肝細胞がんに対する一次治療としてのカボメティクス+テセントリク併用療法、無増悪生存期間を延長The Lancet Oncologyより


  • [公開日]2022.07.19
  • [最終更新日]2022.07.14
この記事の3つのポイント
・進行性肝細胞がん患者が対象の第3相試験
一次治療としてのカボメティクステセントリク併用療法の有効性安全性ソラフェニブ、カボメティクス単剤と比較検証
無増悪生存期間はカボメティクス+テセントリク併用群6.8ヶ月であり、ソラフェニブ単剤群(4.2ヶ月)に対して死亡リスクを減少させた

7月4日、医学誌『The Lancet Oncology』にて進行性肝細胞がん患者に対する一次治療としてのマルチキナーゼ阻害薬であるカボメティクス(一般名:カボザンチニブ、以下カボメティクス)+抗PD-L1抗体薬であるテセントリク(一般名:アテゾリズマブ、以下テセントリク)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のCOSMIC-312試験(NCT03755791)の結果がUCSF Helen Diller Family Comprehensive Cancer CenterのR.K. Kelley氏らにより公表された。

COSMIC-312試験は、進行性肝細胞がん患者(N=837人)に対する一次治療として1日1回カボメティクス40mg+3週を1サイクルとしてテセントリク1200mg併用療法を実施する群(N=432人)、1日2回ソラフェニブ400mg単剤療法を実施する群(N=217人)、もしくは1日1回カボメティクス60mg単剤療法を実施する群(N=188人)に2対1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目としてソラフェニブ単剤群に対するカボメティクス+テセントリク併用群の無増悪生存期間(PFS)の優越性、ソラフェニブ単剤群に対するカボメティクス+テセントリク併用群の全生存期間(OS)の優越性を比較検証した国際多施設共同オープンラベル第3相試験である。

本試験のフォローアップ期間中央値15.8ヶ月時点における結果は以下の通りである。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はカボメティクス+テセントリク併用群の6.8ヶ月(99%信頼区間:5.6-8.3ヶ月)に対してソラフェニブ単剤群で4.2ヶ月(99%信頼区間:2.8-7.0ヶ月)と、カボメティクス+テセントリク併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを37%(HR:0.63、99%信頼区間:0.44-0.91、P=0.0012)減少した。

全生存期間(OS)中央値はカボメティクス+テセントリク併用群の15.4ヶ月(96%信頼区間:13.7-17.7ヶ月)に対してソラフェニブ単剤群で15.5ヶ月(96%信頼区間:12.1ヶ月-未到達)と、カボメティクス+テセントリク併用群は死亡(OS)のリスクを10%(HR:0.90、96%信頼区間:0.69-1.18、P=0.44)減少した。

一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3もしくは4の有害事象(AE)は下記の通りである。ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)増加がカボメティクス+テセントリク併用群で9%(N=38/429人)、ソラフェニブ単剤群で3%(N=6/207人)、カボメティクス単剤群で6%(N=12/188人)、高血圧が9%(N=37人)、8%(N=17人)、12%(N=23人)、AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)増加が9%(N=37人)、4%(N=8人)、10%(N=18人)、手足症候群が8%(N=35人)、8%(N=17人)、9%(N=16人)をそれぞれ示した。

重篤な有害事象(SAE)発症率はカボメティクス+テセントリク併用群で18%(N=78人)、ソラフェニブ単剤群で8%(N=16人)、カボメティクス単剤群で13%(N=24人)を示した。グレード5の治療関連有害事象(TARA)発症率はカボメティクス+テセントリク併用群で1%(N=6人)、ソラフェニブ単剤群で1%未満(N=1人)、カボメティクス単剤群で1%未満(N=1人)であった。

以上のCOSMIC-312試験の最終解析の結果よりR.K. Kelley氏らは「進行性肝細胞がん患者に対する一次治療としてのマルチキナーゼ阻害薬カボメティクス+抗PD-L1抗体薬テセントリク併用療法は、本疾患の治療選択肢になり得る可能性がありますが、追加試験が必要とされるでしょう」と結論を述べている。

Cabozantinib plus atezolizumab versus sorafenib for advanced hepatocellular carcinoma (COSMIC-312): a multicentre, open-label, randomised, phase 3 trial(Lancet Oncol. 2022 Jul 4;S1470-2045(22)00326-6. doi: 10.1016/S1470-2045(22)00326-6.)

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