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切除可能な非小細胞肺がんに対する術前療法としてのイミフィンジ+化学療法、病理学的完全奏効率を改善

[公開日] 2022.07.15[最終更新日] 2022.07.15

この記事の3つのポイント ・切除可能な非小細胞肺がん患者が対象の第3相試験 ・術前療法としてのイミフィンジ+化学療法の有効性・安全性を比較検証 ・病理学的完全奏効率とMPRは、プラセボ+化学療法に比べてイミフィンジ+化学療法で統計学的有意に改善を示した

6月30日、アストラゼネカ社プレスリリースにて切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する術前療法としての抗PD-L1抗体イミフィンジ(一般名:デュルバルマブ、以下イミフィンジ)+化学療法併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のAEGEAN試験の主要評価項目の1つである病理学的完全奏効率(pCR)の結果が公表された。

AEGEAN試験は、切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)患者(N=802人)に対する術前療法として3週を1サイクルとしてイミフィンジ1500mg+化学療法を4サイクル実施し、手術後の維持療法として4週を1サイクルとしてイミフィンジ単剤療法を最大12サイクル実施する群、もしくはプラセボ+化学療法を4サイクル実施し、手術後の維持療法としてプラセボ療法を最大12サイクル実施する群に無作為に振り分け、主要評価項目として病理学的完全奏効率(pCR:術前療法後に活動可能ながんが認められない状態)、無イベント生存期間(EFS)、重要な副次評価項目として全生存期間(OS)、無病生存期間(DFS)、Major pathological response(MPR)、安全性などを比較検証したランダム化二重盲検下国際多施設共同の第3相試験である。

本試験が開始された背景として、非小細胞肺がん(NSCLC)患者の最大30%程度が手術可能なステージで診断される。しかしながら、ステージII非小細胞肺がん(NSCLC)患者の5年生存率(OS)は約56~65%、ステージIII非小細胞肺がん(NSCLC)患者の5年生存率(OS)は約24~41%程度である。以上の背景より、切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する術前療法としての抗PD-L1抗体イミフィンジ+化学療法併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験の初回解析の結果、主要評価項目である病理学的完全奏効率(pCR)はプラセボ+化学療法に比べてイミフィンジ+化学療法で統計学的有意に改善を示した。また、重要な副次評価項目であるMajor pathological response(MPR)においてもプラセボ+化学療法に比べてイミフィンジ+化学療法で統計学的有意に改善を示した。

一方の安全性として、イミフィンジ+化学療法群の安全性プロファイルは既存の臨床試験で確認されている内容と一致しており、プラセボ+化学療法に比べて手術可能な患者数を減少させることはなかった。

以上のAEGEAN試験の結果より、アストラゼネカ社のSusan Galbraith氏は「切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)患者さんへ早期治療を介入することで完治の可能性があります。しかしながら、化学療法、手術療法を施行したにも関わらず5年以内に大半の患者さんが再発します。このような患者さんに対して免疫チェックポイント阻害薬であるイミフィンジを術前、術後療法に投与する治療戦略は新規性があり、今後の試験解析結果次第では生存率の改善に繋がることを期待しています」と結論を述べている。

Imfinzi plus chemotherapy significantly improved pathologic complete response in AEGEAN Phase III trial in resectable non-small cell lung cancer(AstraZeneca PressReleases)
ニュース 肺がん 術前化学療法

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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