6月3日~7日、米国イリノイ州シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2022)にてRAS/BRAF遺伝子野生型の転移性大腸がん患者に対するファーストライン治療としてのFOLFIRI+パニツムマブ併用療法の断続的投与の有効性、安全性を検証したThe IMPROVE試験(NCT04425239)の結果がIstituto Nazionale Tumori FondazioneのAntonio Avallone氏らにより公表された。
The IMPROVE試験は、RAS/BRAF遺伝子野生型の転移性大腸がん患者に対するファーストライン治療としてFOLFIRI+パニツムマブ併用療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)発現するまで実施する群(Arm A、N=69人)、もしくはFOLFIRI+パニツムマブ併用療法をフリーインターバル期間を設定し、最大8サイクル実施する群(Arm B、N=68人)に分けて、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として安全性、全生存期間(OS)客観的奏効率(ORR)などを検証した第2相試験である。
本試験が開始された背景として、抗EGFR抗体薬+FOLFIRI併用療法は、RAS/BRAF遺伝子野生型の転移性大腸がん患者に対する標準治療である。しかし、治療抵抗性や、治療関連有害事象(TRAE)は有効性を制限する。以上の背景より、断続的な治療スケジュールは薬剤抵抗性、毒性を減少させる可能性があることを検証するため、本試験が開始された。
本試験に登録された137人の患者背景は下記の通りである。性別はArm Aで男性が59%に対してArm Bで男性が61%。年齢中央値はArm Aの62歳に対してArm Bで66歳。Performance Statusスコアはスコア0がArm Aの84%に対してArm Bで72%。腫瘍部位は右側がArm Aの17%に対してArm Bで15%。アジュバント療法歴はArm Aで22%の対してArm Bで29%。両群間で患者背景に偏りはなかった。
本試験のフォローアップ期間中央値18ヶ月時点における結果、無増悪生存期間(PFS)中央値はArm Aの12.6ヶ月(95%信頼区間:9.0-16.1ヶ月)に対してArm Bで17.6ヶ月(95%信頼区間:7.5-27.8ヶ月)、1年無増悪生存率(PFS)はArm Aの51.7%に対してArm Bで61.3%を示した。客観的奏効率(ORR)はArm Aの64%に対してArm Bで56%を示した。グレード3~4の有害事象(AE)発症率は、皮膚障害がArm Aの27%に対してArm Bで13%、好中球減少症がArm Aの23%に対してArm Bで22%、下痢がArm Aの13%に対してArm Bで15%であった。
以上のThe IMPROVE試験の結果よりAntonio Avallone氏らは「RAS/BRAF遺伝子野生型の転移性大腸がん患者に対するファーストライン治療としてのFOLFIRI+パニツムマブ併用療法の断続的投与は、無増悪生存期間(PFS)を改善し、皮膚障害の発症を減少させました。これらのデータは、第3相試験でさらに検討する必要があります」と結論を述べている。
Randomized intermittent or continuous panitumumab plus FOLFIRI (FOLFIRI/PANI) for first-line treatment of patients (pts) with RAS/BRAF wild-type (wt) metastatic colorectal cancer (mCRC): The IMPROVE study.(2022 ASCO Annual Meeting, Abstract No:3503)