6月3日~7日、米国・イリノイ州シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2022)にて未治療の早期トリプルネガティブ乳がん患者に対する術前化学療法としての抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ、以下キイトルーダ)+パクリタキセル+カルボプラチン併用療法の有効性、安全性を化学療法と比較検証した第3相のKEYNOTE-522試験(NCT03036488)の結果がYale Cancer CenterのLajos Pusztai氏らにより公表された。
KEYNOTE-522試験は、未治療の早期トリプルネガティブ乳がん患者(N=1174人)に対する術前化学療法として3週を1サイクルとしてキイトルーダを200mg+パクリタキセル+カルボプラチン併用療法を4サイクル実施後、3週を1サイクルとしてキイトルーダを200mg+エピルビシンもしくはドキソルビシン+シクロホスファミド併用療法を4サイクル実施する群、または3週を1サイクルとしてプラセボ+パクリタキセル+カルボプラチン併用療法を4サイクル実施後、3週を1サイクルとしてプラセボ+エピルビシンもしくはドキソルビシン+シクロホスファミド併用療法を4サイクル実施する群に2対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として病理学的完全寛解率(pCR)、無イベント生存期間(EFS:根治的手術を妨げる疾患の進行、局所または遠隔再発、二次がん、または何らかの原因による死亡をイベントとして定義)を比較検証した二重盲検下の第3相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値39.1ヶ月時点における36ヶ月無イベント生存率(EFS)の残存腫瘍(residual cancer burden: RCB分類)スコア別の結果は下記の通りである。RCB-0の患者においては、キイトルーダ群の94.7%(95%信頼区間:92.2-96.4%)に対してプラセボ群で92.6%(95%信頼区間:88.2-95.4%)を示した(HR:0.70、95%信頼区間:0.38-1.31)。RCB-1の患者においては、キイトルーダ群の83.8%(95%信頼区間:72.6-90.7%)に対してプラセボ群で84.4%(95%信頼区間:70.1-92.3%)を示した(HR:0.92、95%信頼区間:0.39-2.20)。RCB-2の患者においては、キイトルーダ群の75.7%(95%信頼区間:67.8-81.9%)に対してプラセボ群で55.9%(95%信頼区間:44.1-66.2%)を示し(HR:0.52、95%信頼区間:0.32-0.82)、RCB-3の患者群においては、キイトルーダ群の26.2%(95%信頼区間:13.5-41.0%)に対してプラセボ群で34.6%(95%信頼区間:17.5-52.5%)を示した(HR:1.24、95%信頼区間:0.69-2.23)。
以上のKEYNOTE-522試験の結果よりLajos Pusztai氏らは「残存腫瘍(residual cancer burden: RCB分類)スコアの増加は無イベント生存期間(EFS)の悪化に関係している可能性が示唆されました。RCB-0、1、2群において抗PD-1抗体薬キイトルーダ+パクリタキセル+カルボプラチン併用療法は、無イベント生存期間(EFS)を改善することが示されました。一方、RCB-3群においては解釈が限定的でした」と結論を述べている。
Event-free survival by residual cancer burden after neoadjuvant pembrolizumab + chemotherapy versus placebo + chemotherapy for early TNBC: Exploratory analysis from KEYNOTE-522.(2022 ASCO Annual Meeting, Abstract No:503)