6月6日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて免疫チェックポイント阻害薬治療歴のある進行性非小細胞肺がん患者に対する抗VEGFR2ヒトモノクローナル抗体薬であるサイラムザ(一般名:ラムシルマブ、以下サイラムザ)+抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ、以下キイトルーダ)併用療法の有効性、安全性を主治医選択の標準化学療法と比較検証した第2相のLung-MAP S1800A試験の結果がCedars-Sinai Medical CenterのKaren L. Reckamp氏らにより公表された。
Lung-MAP S1800A試験は、免疫チェックポイント阻害薬治療歴のある進行性非小細胞肺がん患者(N=136人)に対してサイラムザ+キイトルーダ併用療法を実施する群(N=69人)、もしくは主治医選択の標準化学療法(ドセタキセル+サイラムザ、ドセタキセル、ゲムシタビン、ペメトレキセド)を実施する群(N=67人)に無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、奏効持続期間(DOR)などを比較検証した第2相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である全生存期間(OS)中央値は、サイラムザ+キイトルーダ併用群の14.5ヶ月(13.9-16.1ヶ月)に対して主治医選択の標準化学療法群で11.6ヶ月(9.9-13.0ヶ月)と、サイラムザ+キイトルーダ併用群で死亡(OS)のリスクを31%統計学的有意に減少(HR:0.69、80%信頼区間:0.51-0.92、P=0.05)した。
無増悪生存期間(PFS)は、主治医選択の標準化学療法群に比べてサイラムザ+キイトルーダ併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを14%減少(HR:0.86、80%信頼区間:0.66-1.14、P=0.25)し、客観的奏効率(ORR)はサイラムザ+キイトルーダ併用群の22%に対して主治医選択の標準化学療法群で28%と、両群で同等であった。
一方、安全性として、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は、サイラムザ+キイトルーダ併用群の42%に対して主治医選択の標準化学療法群で60%であった。
以上のLung-MAP S1800A試験の結果よりKaren L. Reckamp氏らは「免疫チェックポイント阻害薬治療歴のある進行性非小細胞肺がん患者に対する抗VEGFR2ヒトモノクローナル抗体薬サイラムザ+抗PD-1抗体薬キイトルーダ併用療法は、主治医選択の標準化学療法群に比べて全生存期間(OS)を統計学的有意に改善し安全性については既知のプロファイルと一致していました」と結論を述べている。
Phase II Randomized Study of Ramucirumab and Pembrolizumab Versus Standard of Care in Advanced Non–Small-Cell Lung Cancer Previously Treated With Immunotherapy—Lung-MAP S1800A(J Clin Oncol. 2022 Jun 3;JCO2200912. doi: 10.1200/JCO.22.00912.)