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ALK融合遺伝子変異陽性の進行性非小細胞肺がんに対する一次治療としてのローブレナ単剤療法、中枢神経系の病勢進行を抑制

[公開日] 2022.06.08[最終更新日] 2022.06.08

この記事の3つのポイント ・ALK融合遺伝子変異陽性の進行性非小細胞肺がん患者が対象の第3相試験 ・一次治療としてのローブレナの有効性・安全性をクリゾチニブと比較検証 ・脳転移を有する患者群における12ヶ月CNS病勢進行発症率は、ローブレナの7%に対してクリゾチニブで72%、  脳転移を有さない患者群では1%と18%であった

5月23日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にてALK融合遺伝子変異陽性の進行性非小細胞肺がん患者に対するファーストライン治療としてのALK阻害薬であるローブレナ(一般名:ロルラチニブ、ローブレナ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第3相のCROWN試験(NCT03052608)の事後解析(Post Hoc Analysis)の結果がPeter MacCallum Cancer CentreのBenjamin J. Solomon氏らにより公表された。

CROWN試験は、ALK融合遺伝子変異陽性の進行性非小細胞肺がん患者に対するファーストライン治療として1日1回ローブレナ100mg単剤を投与する群、もしくは1日2回クリゾチニブ250mg単剤を投与する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)を比較検証した第3相試験である。

本試験が開始された背景として、ALK融合遺伝子変異陽性の進行性非小細胞肺がん患者に対するファーストライン治療としてのローブレナ単剤療法は、クリゾチニブ単剤療法に比べて無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善することが示されている。ALK融合遺伝子変異陽性の進行性非小細胞肺がんの29~40%の患者は脳転移を有しており、半数以上の患者で脳転移を発症する。以上の背景より、ALK融合遺伝子変異陽性の進行性非小細胞肺がん患者に対するファーストライン治療としてのALK阻害薬ローブレナ単剤療法の有効性を脳転移の有無別で検証する事後解析が実施された。

本試験の結果、脳転移を有する患者群における12ヶ月無増悪生存率(PFS)はローブレナ単剤群の78%に対してクリゾチニブ単剤群で22%、脳転移を有さない患者群における12ヶ月無増悪生存率(PFS)はローブレナ単剤群の78%に対してクリゾチニブ単剤群で45%をそれぞれ示した。また、12ヶ月CNS病勢進行発症率は脳転移を有する患者群でローブレナ単剤群の7%に対してクリゾチニブ単剤群で72%、脳転移を有さない患者群でローブレナ単剤群の1%に対してクリゾチニブ単剤群で18%をそれぞれ示した。

一方の安全性として、ローブレナ単剤群における中枢神経系(CNS)有害事象(AE)発症率は35%を示し、大半の有害事象(AE)のグレードは1であった。

以上のCROWN試験の事後解析(Post Hoc Analysis)の結果よりBenjamin J. Solomon氏らは「ALK融合遺伝子変異陽性の進行性非小細胞肺がん患者に対するファーストライン治療としてのALK阻害薬ローブレナ単剤療法は、無増悪生存期間(PFS)を改善し、CNS病勢進行を抑制しました」と結論を述べている。

Post Hoc Analysis of Lorlatinib Intracranial Efficacy and Safety in Patients With ALK-Positive Advanced Non–Small-Cell Lung Cancer From the Phase III CROWN Study(J Clin Oncol. 2022 May 23;JCO2102278. doi: 10.1200/JCO.21.02278.)
ニュース 肺がん 脳転移

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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