5月30日、日本新薬株式会社は、開発中のNS-87(ダウノルビシン塩酸塩、シタラビン配合リポソーム注射剤、以下NS-87)について、急性骨髄性白血病(AML)を期待できる適応症として、厚生労働省より5月26日付で希少疾病用医薬品の指定を受けたと発表した。
NS-87は、AMLの標準治療薬であるシタラビンとダウノルビシンを5:1のモル比で配合したリポソーム製剤。骨髄で白血病細胞にNS-87が取り込まれると、シタラビンとダウノルビシンが放出され、抗腫瘍効果が発揮される。なお、モル比5:1の配合は一番効果が高いとされている配合である。
今回の希少疾病用医薬品の指定は、海外第3相試験の結果に基づくもの。同試験では、高リスクAMLとされる「骨髄異形成関連変化を伴うAML」と「治療関連AML」の成人患者を対象に、NS-87を投与する群とシタラビンを7日間+ダウノルビシンを3日間併用する群(7+3療法)を比較検証した。その結果、NS-87は全生存期間を有意に延長した。
日本新薬はプレスリリースにて「本剤を国内における高リスクAMLの患者さんに一日も早くお届けできるよう、今後も一層の努力を続けてまいります」と述べている。
なお、同剤については、国内において高リスクAML患者を対象に有効性と安全性を評価する第1/2相試験を実施中である。
急性骨髄性白血病(AML)とは 急性骨髄性白血病(AML)は未熟な骨髄球系の細胞が異常増殖する血液がん。骨髄において白血病細胞が無制限に増殖することにより正常な造血機能が阻害される。症状としては感染症や出血などが多いが、さまざま出現する。
希少疾病用医薬品とは 希少疾病用医薬品は国内での対象患者数が5万人未満かつ医療上特にその医薬品の必要性が高いことなどから審議され、厚生労働大臣によって指定された医薬品。希少疾病用医薬品の指定を受けることにより、製造販売承認に要する期間が数か月短縮されることが期待できる。
参照元:日本新薬株式会社 プレスリリース