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3月3日、厚生労働省薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は、審議項目として5製品の審議を行った。そのうち抗がん剤関連は1製品。また報告事項※として4製品の報告を行い、うち3製品が抗がん剤関連であり、いずれも一部変更承認を了承した。正式承認は3月中の見込み。
※報告事項:医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階において、承認して差し支えないとされ、部会では審議せず報告のみでいいと判断されたもの。
審議品目
セムブリックス錠20mg、同40mg
一般名:アシミニブ塩酸塩
効能・効果:前治療薬に抵抗性/不耐容の慢性骨髄性白血病(CML)
申請企業:ノバルティスファーマ
セムブリックスは、ABLミリストイルポケットと結合して作用する慢性骨髄性白血病(CML)の治療薬。この新規の作用機序はSTAMP阻害剤とも呼ばれる。2種類以上のチロシンキナーゼ阻害剤による前治療歴のあるCML患者の治療抵抗性に対応し、白血病細胞の過剰産生とも関連するBCR-ABL1遺伝子の変異を克服できる可能性があるとされる。
国際共同第3相試験において同剤は、チロシンキナーゼ阻害剤による治療に不耐容または抵抗性のCMLを対象にボスチニブ群と比較し、優越性を認めた。
報告品目
オプジーボ点滴静注20mg、同100mg、同120mg、同240mg
一般名:ニボルマブ(遺伝子組換え)
効能・効果:尿路上皮がんにおける術後補助療法
申請企業:小野薬品工業
オプジーボは、PD-1(Programmed death-1)を標的とする免疫チェックポイント薬のひとつ。PD-1とPD-L1のリガンドの経路を阻害することで身体の免疫系を利用してがんを攻撃する。
同剤は国際共同第3相のCheckMate-274(ONO-4538-33)において、根治切除後の再発リスクが高い筋層浸潤性尿路上皮がん患者に対する術後補助療法として、オプジーボ単剤療法をプラセボと比較し、有効性・安全性が評価確認された。日本において尿路上皮がんの術後補助療法として初の免疫療法薬となる。
パージェタ点滴静注420mg/14ml
一般名:ペルツズマブ(遺伝子組換え)
効能・効果:がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行/再発の結腸・直腸がん
申請企業:中外製薬
パージェタは、ヒト上皮増殖因子受容体2型(HER2)タンパクを標的とし、がん細胞の増殖を抑える分子標的薬。同じくHER2タンパクを標的としたハーセプチンとは標的となるレセプターが異なり、併用することでより広範囲にがん細胞の増殖抑制効果や殺細胞効果を期待できる。
今回の承認は、同日に報告品目として報告されたハーセプチンとの併用療法に関するもの。
ハーセプチン注射用60、同150
一般名:トラスツズマブ(遺伝子組換え)
効能・効果:がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行/再発の結腸・直腸がん
申請企業:中外製薬
ハーセプチンは、がん細胞の増殖に関与するHER2を標的とするヒト化モノクローナル抗体のひとつ。今回の承認は、同日に報告品目として報告されたパージェタとの併用療法に関するもの。
参照元:厚生労働省 薬事・食品衛生審議会(薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会)