ホルモン感受性転移性前立腺がんに対するダロルタミド+アンドロゲン除去療法+ドセタキセル併用療法、全生存期間を改善The New England Journal of Medicineより


  • [公開日]2022.03.03
  • [最終更新日]2022.02.28
この記事の3つのポイント
・ホルモン感受性転移性前立腺がん患者が対象の第3相試験
・ダロルタミド+アンドロゲン除去療法+ドセタキセル併用療法の有効性安全性を比較検証
全生存期間はアンドロゲン除去療法+ドセタキセル群に対して有意に改善し、死亡リスクを32.5%減少した

2022年2月17日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にてホルモン感受性転移性前立腺がん患者に対する新規経口アンドロゲン受容体阻害薬ダロルタミド(Darolutamide)療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のARASENS試験(NCT02799602)の結果がMassachusetts General HospitalのMatthew Smith氏らにより公表された。

ARASENS試験は、ホルモン感受性転移性前立腺がん患者(N=1306人)に対して1日2回ダロルタミド(Darolutamide)600mg+アンドロゲン除去療法+ドセタキセルを投与する群(N=651人)、もしくはプラセボ+アンドロゲン除去療法+ドセタキセルを投与する群(N=655人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)を比較検証した国際多施設共同ランダム化の第3相試験である。

本試験が開始された背景として、新規経口アンドロゲン受容体阻害薬ダロルタミド(Darolutamide)は去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)、非転移性前立腺がんに対して投与することで全生存期間(OS)を改善することが示されている。以上の背景より、ホルモン感受性転移性前立腺がん患者に対する新規経口アンドロゲン受容体阻害薬ダロルタミド(Darolutamide)単剤療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験の結果、主要評価項目である全生存期間(OS)はプラセボ+アンドロゲン除去療法+ドセタキセル群に比べてダロルタミド(Darolutamide)+アンドロゲン除去療法+ドセタキセル群で死亡(OS)のリスクを32.5%(HR:0.68、95%信頼区間:0.57-0.80、P<0.001)統計学的有意に改善した。

一方の安全性として、有害事象(AE)発症率は両群間で同等であり、最も多くの患者で確認されたグレード3~4の有害事象(AE)はダロルタミド(Darolutamide)+アンドロゲン除去療法+ドセタキセル群66.1%に対してプラセボ+アンドロゲン除去療法+ドセタキセル群63.5%、グレード3~4の好中球減少症の発症率はそれぞれ33.7%、34.2%を示した。

以上のARASENS試験の結果よりMatthew Smith氏らは「ホルモン感受性転移性前立腺がん患者に対する新規経口アンドロゲン受容体阻害薬ダロルタミド(Darolutamide)+アンドロゲン除去療法+ドセタキセル併用療法は全生存期間(OS)を統計学的有意に改善しました。また、有害事象(AE)発症率は両群間で同等でした」と結論を述べている。

Darolutamide and Survival in Metastatic, Hormone-Sensitive Prostate Cancer(N Engl J Med. 2022 Feb 17. doi: 10.1056/NEJMoa2119115.)

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