レットヴィモ、RET遺伝子異常のある切除不能甲状腺がん/甲状腺髄様がんに対する国内初の承認を取得ー日本イーライリリーー


  • [公開日]2022.03.02
  • [最終更新日]2022.03.02

2月25日、日本イーライリリー株式会社は、抗悪性腫瘍薬であるレットヴィモカプセル40mg、同カプセル80mg(一般名:セルペルカチニブ、以下レットヴィモ)について、「RET融合遺伝子陽性の根治切除不能な甲状腺がん」および「RET遺伝子変異陽性の根治切除不能な甲状腺髄様がん」を適応症とする国内初の承認を厚生労働省より取得したと発表した。今回の承認は、RET融合遺伝子陽性の根治切除不能な甲状腺がんとRET遺伝子変異陽性の根治切除不能な甲状腺髄様がんに対する国内初の承認となる。

RET遺伝子変異は遺伝性甲状腺髄様がんの90%以上、散発性甲状腺髄様がんの60%以上と推計されている。RETキナーゼの遺伝子異常は、融合遺伝子と活性化変異により過剰なRETシグナル伝達と制御不能な細胞増殖を誘発している。レットヴィモは、活性化されたRETを選択的に阻害することで、腫瘍の増殖を阻害すると考えられている。

今回の承認は、固形がん患者を対象にレットヴィモの有効性安全性を評価した国際共同第1/2相試験(LIBRETTO-001試験)の結果に基づくもの。固形がん患者のうち、RET融合遺伝子陽性の根治切除不能な甲状腺がん患者22人(日本人1人を含む)とRET遺伝子変異陽性の根治切除不能な甲状腺髄様がん患者187人(日本人1人を含む)を対象に1日2回レットヴィモ160mgを経口投与し、奏効率などを検証した。

日本イーライリリーの研究開発・メディカルアフェアーズ統括本部オンコロジー領域本部長の江夏総太郎氏は、「レットヴィモは、昨年、非小細胞肺がんの承認を取得し患者さんに治療選択肢を届けました。このたび、新たにレットヴィモがRET融合遺伝子陽性の根治切除不能な甲状腺がんとRET遺伝子変異陽性の根治切除不能な甲状腺髄様癌に対する治療薬として承認を取得し、甲状腺癌と甲状腺髄様癌と共に生きる患者さんに提供できることを誇りに思います」と話すとともに、「日本イーライリリーは、がんと共に生きるひとりひとりの患者さんのお役に立てるよう適正使用の推進に注力してまいります」と述べている。

甲状腺がんとは
甲状腺の一部にできる悪性腫瘍であり、乳頭がん、濾胞がん、低分化がん、髄様がん、未分化がん、悪性リンパ腫などがある。国内での2018年の甲状腺がん罹患数は18,636人、2019年度の甲状腺がんによる死亡推定数は1,862人と推計されている。

LIBRETTO-001試験とは
12歳以上の(1)化学療法歴のあるRET融合遺伝子陽性の根治切除不能な甲状腺がん患者(N=10人、うち1人日本人)(2)化学療法歴のないRET融合遺伝子陽性の根治切除不能な甲状腺がん患者(N=12人)(3)化学療法歴のあるRET遺伝子変異陽性の根治切除不能な甲状腺髄様がん患者(N=97人、うち1人日本人)(4)化学療法歴のないRET遺伝子変異陽性の根治切除不能な甲状腺髄様がん患者(N=90人)にレットヴィモ160mgを投与した国際共同第1/2相試験。主要評価項目である奏効率は、(1)で50.0%(95%信頼区間:18.7-81.3)、(2)で100%(95%信頼区間:73.5-100)、(3)で68.0%(95%信頼区間:57.8-77.1)、(4)で63.3%(95%信頼区間:52.5-73.2)をそれぞれ示した。一方安全性について、主な副作用は、口内乾燥(35.3%)、高血圧(31.8%)、ALT増加(28.0%)、AST増加(26.8%)、疲労(25.3%)などであった。

参照元:
日本イーライリリー株式会社 プレスリリース

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